第2話 オキメバル

最初は鋭角的なアタリが数が付くに従って次第に鈍くなり、重量感に変わって行く過程、弧を描くロッド、胴突仕掛に連なる橙色の満艦飾。キンメダイやアコウダイと共通する最大の「見せ場」。
東北地区では「大型クーラー満杯」もこの釣りのステータスだが、筆者が真っ先に上げたいこの釣りの魅力はその味覚。首の付け根がグッと盛り上がる幅広肉厚のグラマラスなボディは口から噴き出す程に腹腔内に脂肪塊を蓄え、あらゆる調理でその実力を余す事無く発揮する「究極の逸品」。
更に一歩踏み込んだ「アタリを楽しむロッド」と「オール疑似餌」をキーワードに「より価値ある1尾」を追求するスタンスもここでは提案したい。

「オキメバル」という魚
沖メバルとは浅海の黒メバル(和名メバル)に対し、沖合のやや深いポイント(数十m以深)に生息するメバル類を総称した物。「オキメバル」という名は標準和名ではなく、沿岸に棲む黒っぽい体色のメバル(クロメバル、アカメバル、シロメバルの3種。かつての標準和名「メバル」に、東北・北海道では「エゾメバル」を含む場合もあり)に対して「沖合の深みに棲む体色の赤いメバル」を指す俗称。狭義ではウスメバル、若しくはウスメバルとトゴットメバルの2種を、広義ではウケグチメバル、カタボシアカメバル、ヤナギノマイ、ヤナギメバル等も含めた中深場の「赤いメバル」全般の呼称である。

※本編では現状オキメバル釣りのメインたる標準和名「ウスメバル」に絞り解説を進めるが、茨城県の一部など軽量錘で水深数十mにアプローチする釣りは「DEEP」範疇から外れるため、取り上げていない。


オキメバルの釣場

青森県太平洋沿岸・日本海沿岸のほぼ全域
秋田県沿岸のほぼ全域(男鹿半島沖・秋田沖など)
山形県沿岸のほぼ全域(象潟沖・飛島沖など)
新潟県沿岸のほぼ全域(粟島沖・佐渡沖など)
岩手県沿岸のほぼ全域(久慈沖・宮古沖・大槌沖など)
宮城県沿岸(綾里沖・金華山沖など)
福島県沿岸(四倉沖・塩屋崎沖など)
茨城県沿岸(平潟沖・日立沖など)
千葉県銚子沖
京都府丹後半島沖


タックルと仕掛

ロッド
東北全域と新潟では200~250号錘を使用し、秋田県~山形県ではコマセ併用が主流となりつつある。福島から茨城北部では鈎数はやや少なめの傾向だが、使用錘は同等だ。これらの地区では「オモリが底トントンと叩く状態を維持してアタリを待つ」基本的釣法と「反応の手前で全員の仕掛けを下し、船を移動して反応に合せていく」スタイルがある。前者では底を叩く復原力が最初の一尾を喰わせるためのキーポイントとなり、後者では復原力よりも「追い喰いを待つ間や巻上げ中に外さない」クッション効果が優先されるが、ベタベタの胴調子ではエサの踊りが悪く、喰い付きが遅くなる事は否めない。何れの場合も喰いを待つ間や巻上時に要求される機能は全く同じだ。

これらを踏まえ、6:4アクションの専用竿をセレクト。ロッドの硬軟は各自の好みにもよるが、使用錘に対してやや負け気味のアクションセレクトがセオリー。使用オモリ200~250号に対し、150号クラスを用意する。素材は跳ねを抑えるオールグラスファイバー製が圧倒的に有利だ。

「クッション効果で外れを抑える」を最優先に以前は3.3~3.5m(以上)の長竿が多用されたが、近年はロッド性能の向上と取り回しの良さを踏まえ、(地域や船により差はあるが)以前より短めが好まれる傾向。
船の大きさや釣座で長さの使い分けが必要なケースもある。喫水の高い大型船では「クッション効果」が活用できる長竿だか、喫水の低い中小型船の胴中では初期段階から竿先が海中に突っ込みアタリが取り難い、潮の影響を受け釣り難いなどの不都合が。キーパーに椹木を噛まして嵩上する方法もあるが、限界がある。中小型船では2.7m未満の選択がベターだろう。
尚千葉県銚子沖、京都府丹後半島沖ではやや軽量(100~150号)の錘を使用するため、オキメバル専用竿は若干「強め」となる。アカムツロッドの流用がお勧めだ。

アルファタックル適合モデル
ディープインパクト カイザーT
ディープオデッセイ モデルT
ディープオデッセイ モデルTT
HBオキメバル260
スーパーディープクルーザー220オキメバル
輝テリハチメ270
銚子沖・丹後半島沖用
HBアカムツ230

リール…
東北・新潟県・茨城県北部用

水深150m前後が中心だが「良型10尾以上連なる事が前提」はもちろん、日本海側ではホッケの満艦飾でもガンガン巻いてオマツリを回避するパワー&スピードが必須。併せて口切れし易いオキメバルを確実にキャッチできる高性能のドラグも不可欠だ。ラインはPE(5~)6号がメイン。
ミヤエポックAC-3JPC、S社4000~6000、D社750が該当。
銚子沖・丹後半島沖用
アルファタックル ポラリスiv500、S社3000、D社500が該当。ラインはPE4号。

仕掛…
東北・新潟県・茨城県北部用

幹糸7~8号70cm・ハリス3~4号30cmの胴突10~15本バリ。ハリは細地ムツ14号、若しくは同号のオキメバル用毛鈎。茨城県北部では鈎数10本未満が主流。仕掛上端には藤井商会「水切板」などの小型ヨリトリ器具を配す。オモリは釣場、船により200~250号。根掛り激しいポイントならフジワラの鉄製「ワンダーⅠ」を推すが、根掛りが少ない釣場や「船で仕掛けを曳いて反応に合せる」スタイルでは「横方向の潮当たり」=糸フケの少なさを優先。鉄製より体積の小さい鉛製「スカリー」をセレクトする。
※ただし「船宿指定の錘を使用する」という事も付け加えておきたい。
銚子沖・丹後半島沖用
市販のオキメバル用仕掛、フラッシャーサビキなど鈎数10本未満が主流。

既成仕掛
藤井商会「フジッシャーオキメバル仕掛・丸鉛入」
風による手前マツリを回避し手返しをスムーズにする「丸鉛」を幹糸に配したオキメバル仕掛。基本の鈎数は10本と15本だが、鈎3本毎に幹糸に撚り取り目的のスイベルが配され、この部分から3本単位での増減が可能。
様々なカラーバリエーションで水色や水温など状況に応じて使い分け可能。基本データ(傾向)は低水温時に赤やピンク、高水温は青や黄緑が効果的。紫は水温に左右され難く、白は安定も突出しない、橙は突出して釣れる時がある…等。これらを踏まえつつ、各色ミックスの「パイロット仕掛」でその日の傾向を素早く読み取り「ヒットカラー」中心の配色に交換する。時間やポイント移動で「ヒットカラー」が変わる事もあるので、周囲の釣況にも目を配り臨機応変に対応する。因みに同色の細地バリと太地バリを交互に投入する検証ではキンメダイ同様「細地鈎の圧倒的な優位性」を確認済みだ。

釣座スペースが十分に取れる場合はロッド左右に2組の仕掛を並べ、交互に使用すれば手返しアップ。取り込み後の処理やエサ付けも余裕を持って行える。

深海バケ…
東北地区では前出「フジッシャー毛鈎」以外にも魚皮や羽毛、化学繊維など様々な素材を使用した沖メバル用バケ(&仕掛)が販売されている。カラーセレクトは「フジッシャー仕掛」に準じ、ホッケやサバが極端に多い場合は夜光系を避けるのが基本だ。

秋田沖オキメバルに於ける深海バケの色別使い分け
深海バケの使い分けを過去のデータを元に一覧表とした。あくまでも傾向であり、絶対ではない。

カラー高水温低水温濁り潮澄み潮摂餌傾向コメント
濃紫イカオールマイティーだが、澄み潮に弱い事も。特色となる場合有り
薄紫イカオールマイティーだが、濁りにやや弱い
濃緑小魚濁り潮に有効
薄緑小魚高水温時澄み潮に有効
水色小魚高水温時の特色だが、当り外れがはっきりしている。
アミエビ通常ワンポイントカラーの傾向だが、特色となる場合有り
小魚高水温時の澄み潮に有効
状況に関らずオールマイティーだが、特色にはならない
アミエビ低水温時・濁り潮に有効だが、宙層でホッケに捕まり易い
ピンクアミエビ低水温時・濁り潮に有効だが、宙層でホッケに捕まり易い

集魚ギミック…サバやホッケが少ない場合はルミカ「輝泡」「ビット」等の小型水中灯が有効。緑色発光と赤色発光を持参、状況を見て使い分けるのがベター。ヨリトリ器具の下に親子サルカンを接続してブランコ式に配せばスピーディーな取り外しが可能。
秋田県~山形県では「保険的意味合い」でコマセカゴを配しオキアミorアミのコマセを併用するのが主流(必ずしも必要ではないとする船長も有るが)となっている。コマセを積極的に振り出すスタイルではない(コマセを振ると群れが散るとされる)事、水中抵抗が少ない事からステンレスカゴが主流。但し使用するコマセにより網目サイズを選択する必要がある。

エサ…多用されるホタルイカ壺抜きの肝付ゲソは口から眉間をチョン掛け。手返し優先なら幅5~6mm、長さ数cmのイカ短冊。着色や味付けはお好みで。
ポイントや時期によりイカ餌よりもサバ短冊(イカ短冊と同寸)やワカサギ、ハゼ、モツゴ(下顎から上顎に鈎掛け)、シラウオ(下顎から頭頂の硬い部分に鈎掛け)などの小魚が有効なケースがあり、深海バケ同様に各種持参がお勧め。

疑似餌…近年マイブームは「フジッシャー仕掛+ニッコーベイト」のオール疑似餌で臨むスタイル。
ワームはロストしない限り終日交換の必要が無いため手返しが飛躍的にアップするが「数釣り」を推奨する物ではなく、毛鈎も含めてルアーフィッシング感覚で「魚との知恵比べ」を楽しむスタンスだ。
潮や季節、時間帯によりヒットカラーは変り、大まかな「パターン」はある物の一筋縄ではいかないのが難しくも面白い所である。
ニッコーベイトのメリットは

  1. 投入毎の交換不要で多点仕掛けの手返し抜群
  2. 壺抜き、カットなどの下準備不要
  3. 常温保存で液体も出ず、運搬楽々&クーラー不要。手指や船縁も汚れない
  4. 色や形状をセレクトし釣果に繋げる面白さ
  5. ホタルイカや身餌と遜色ない釣果

が挙げられる。

ニッコー化成
「マイクロイカタン1.8inch」

単体でエサ代りに使用するイカタン型ベイト。手返しアップはもちろん、匂いとカラー、「トリプルテイル」のアクションで身エサと遜色のない効果。エサに喰わない激渋り時に大型を複数キャッチした実績もあり。状況で使い分けるケイムラグリーン、クリアレッドフレークUV、ラメピンクUV、ケイムラオレンジ、クリアラメUVの計5色。オキアミコマセ併用時はクリアレッドフレークUVとラメピンクUVが強い傾向。
「ピンストレート1.9」
ストレートテイルのスリムなワーム。ダークブラウンゴールドフレーク、クリアレッド、パールホワイト、クリアイエロー、クリアシルバーフレーク、クリアピンク、ウォーターメロンレッドフレーク、グローホワイトの計8色。

「ダッピーホタルイカ3inch」
集魚剤超配合素材の「イカワタパーツ」を集魚剤コーティング素材で包んだホタルイカ型ワーム。大型やソイ狙いで前出ベイトに混ぜ込んで使用。グローホワイト、クリア、ホタルイカ、レッドUV、オレンジUV、モスグリーン、ケイムラドットグローレッド、ケイムラドットグローパープル、ケイムラドットグローオレンジ、ケイムラホロラメの計10色。

その他のギミック
サメ被害軽減装置 デニズ「海園」

秋田~山形県沖では盛夏もメバル自体の活性は高いが、ハリ掛りしたメバル諸共「決して安価とは言えない」オキメバル仕掛が海の藻屑と化す「サメ過」が多発し開店休業状態なのが実情。
このサメ過はポイント周辺の底曳網漁が関係するとされ「他の時期は網から零れる魚を狙って底曳き船を追うサメが、底曳き休漁期間の夏場はメバル船に付くから」だとされる。
真偽はともかくサメの被害を軽減できれば夏場の釣りが快適になるのは間違いない。 「海園」は海中で電流を発生、鼻先の電気器官「ロレンチニ瓶」を捕食に使うサメ・エイ類のみに作用して仕掛から遠ざける効果が。オキメバルの喰いには影響ないので仕掛上部に最初から接続する「Ver.2イカ直結用」のがお勧め。
磁石版
全ての釣場で手前マツリを防止するのに極めて有効なギミック。船に設置されていない場合は持参がお勧め。鈎数に応じて長さをセレクトする。


実釣テクニック
予め投入スタイル(全員一斉、艫or舳先から順番など)を船長に確認しておき、船縁の磁石板にハリを順序よく並べて投入の合図を待つ。
合図に合せオモリを前方に軽く放る感じで投入。バックラッシュさせないように注意しつつ、一気に海底まで仕掛けを落とし込む。 船長の計算通りなら着底の瞬間や棚取り直後に派手なアタリが竿先を叩くが、現実はそんなグッドコンディションばかりとは限らない。
オモリが着底したら根掛りさせないように素早く糸フケを除いて1~2m底を切り「棚キープ」が基本。
キープとは「放置」ではなく「水深が変化しても常に錘の位置(棚)を維持する」事。状況に応じて素早くリール操作(底の取り直しor巻上)を「続ける」事が肝心。カケ上がって浅くなり、オモリが底に着いて糸フケが出たら素早く巻き取り、逆に底を叩く感触が伝わらない宙ブラ状態ならラインをリリースしてオモリを着底、海底をノックする。時に数~10mも巻き上げ、再度着底させる「落とし込みの誘い」など、大きなアクションを織り混ぜて変化を付けるのも有効。

但し、操船スタイルにより「オマツリを誘発するので底の取り直しは不可」の船も有り。初乗船の際は釣法(投入や巻上のルール)やタナ取りの高さ、落とし込み誘いの可否など、必ず船長に確認する事。 秋田の筆者常宿では「着底後2m底を切ったら棚の取り直しをせずにアタリ待つ」が基本。これは魚群を散らさぬ様に反応の手前に仕掛を着底させ「仕掛を船で曳いて反応に入れる」ため。

この操船中の底ダチ取り直しは仕掛けが斜め横方向に走り「反応に入らない」「隣席以降とのオマツリ」の要因となりNG。但し仕掛が反応に入った(ラインが真っ直ぐに立った)後アタリが遅い様なら「棚の取り直し」のアピールもアリ。何れにせよ状況を素早く把握、対処する事が重要だ。

アタリは明確だが、慌てて巻き上げてはこの釣りの醍醐味は味わえない。複数繋げるべく追い喰いを待ち、促すのがセオリー。明らかな喰い上げやカケ上がりでは幹糸間隔分、若しくは糸フケ分を順次巻き上げて「上へ、上へ」と誘い上げる。逆に反応が低く下鈎しか喰わない状況ならそのままで待つ。
1尾目のハリ掛りは鋭いアタリとして現れるが、魚が連なるに従い鈍重な感覚に変化し、重量感も増して行く。 一流し一投の場合、巻上げの合図まで目一杯待っても構わないが、追い喰いの状況次第で頃合を見て巻き上げる事も必要。既に「満艦飾」なら、待ちは外れのリスクでしかない。

ロッドの硬軟にもよるが、巻上はドラグを調整した中速程度。負荷に応じて調整し「一定のペースで」を心掛ける。リールのパワーに任せた高速巻きは口切れやハリス撚れ~切れを誘発するが、極端な低速も巻上時間が長くなる事でよりハリ穴を広げ易く「外れ」の要因に。緩急のある巻上も「弛み」が出易くなりNGだ。

最後は体内のガスが膨脹して海面に浮かぶウスメバル。ズラリ連なっても取り込みを慌てる必要はない。上から順に魚を外しながらハリを磁石板に並べて行く、一旦仕掛全体を船内に取り込み(この時魚が重なり合わない様注意)上、若しくは下鈎から順に外しながら仕掛を並べる、魚をハリから外さず船縁に並べてから、の何れでも構わない。慣れた方法で「次回投入に支障が生じない」を最優先に考える。

乗船者が少なく船縁に広いスペースを確保できる場合に限られるが、仕掛の項でも述べた「仕掛二組をロッド左右に並べ、一投毎に交互投入」も手返しアップに繋がる。
また一流し一投でなく再投入可能なら

  1. オモリのみを船外に吊した状態で仕掛を取り込む。
  2. 下バリから順に魚を外し、エサ付けした鈎を順次海中に下す。
  3. 一番上まで来たらリールをフリーにして即再投入


という方法もある。



オキメバル釣りに役立つ!?ディープマスターのワンポイント

毛鈎もエサもカラーが重要。メバルとの知恵比べが楽しい。
ある年の春先。青森県の釣具店主から「赤色紫外線加工したイカ短冊を使った釣人のみ、爆釣して100尾超え、他は20尾程度」の報が。潮や季節、時間帯により毛鈎のヒットカラーは変る。大まかなパターン表はあるものの、一筋縄ではいかないのが難しくも面白い所。

同年6月の山形県飛島沖に紫と紅の「紫外線加工イカ短冊」を持参し、低水温時に有効の「赤&ピンク」と、幅広い条件をカバーする「オール紫」仕掛の双方に2色のイカ短冊を交互に配して臨んだが、釣果は毛鈎カラーにかかわらず、紫染めのイカに集中。エサのカラーには反応し、バケカラーは全く無視された格好。本種の気難しい一面を垣間見た。ウスメバルがバケ、エサの何れか、又は双方の「何処かのカラー」に反応し、釣果に差が出ている事は明白で、それを特定出来れば釣果に直結する。決して数釣りを推奨する物ではないが「知恵比べ」を楽しむスタンスも一興だ。

ホッケを制す者、オキメバルを制す。
着底と同時に周囲共々派手なアタリが竿先を叩き「オキメバル釣りはこうでなくっちゃね」と笑顔を交わしたが… ちょっと暴れ過ぎじゃない!?
不安大半に一縷の望みで巻き始めるが、予感は大体悪い方が当たるもの。東北日本海側の釣りでは「お約束」とも言えるホッケ。我々関東人は鮮度の良い物を入手するのは難しく、適量ならウェルカムなのだが。

投入毎に満艦飾では海底の本命に仕掛が届かない。ここで漫然と釣り続けるのではなく、如何にこの魚を避けるか(勿論100%回避は不可能だが)を意識したい。
「ホッケは赤系に強く反応」の傾向を踏まえて

  1. 赤色水中灯を外す
  2. バケ、餌のカラーを変える
  3. ハリ数を減らして「釣る幅」を狭める

等の改善を図る。太平洋側のサバ同様、日本海ではホッケを制す者がオキメバルも制すのだ。

身エサに負けない!?フジッシャー毛鈎+ダッピーベイト
近年釣場にかかわらずオキメバルには「全鈎疑似餌」で臨む筆者。「身エサやホタルイカと遜色ない」ばかりでなく、疑似餌優勢や疑似餌しか喰わない場面(オキメバルに限らず)に幾度も遭遇している。

印象的だったのは18年3月の山形県飛島沖。低水温で極端に喰い渋り、鉄板餌ホタルイカの壷抜きやイカ短冊使用の同乗者全員が20cm級の単発に苦笑する中、フジッシャーメバル仕掛の全鈎に「マイクロイカタン」を配した筆者だけは35~37cmの大型を複数キャッチの幸運に恵まれた。

似たようなケースは岩手県マダラや静岡県のアカムツ、キンメでも経験しており「餌で喰わない時ほどワーム優勢」の印象が。「前半ワーム、後半身エサ」とフジッシャー毛鈎のカラー同様に「時間帯で効果が変わる」ケースも有り、この辺の「奥深さ」も深海釣りに更にディープな面白さを生み出す要素でもある。

「オール疑似」のメリットは
ハリ数8~15本の「オキメバル仕掛」の手返しをスムーズに行うのはベテラン釣師でも結構大変。特効エサとされるホタルイカ肝付ゲソは船上で壺抜きに追われ、サバなどの短冊エサもハリ掛り毎に交換が必要。投入順が早い釣座ともなれば、慌しい事この上ない。加えて肝や身肉の脂や強烈な臭いが手指や衣服、船縁を著しく「汚す」のも大きなデメリット。もっとスマートでクリーンな、ゲーム性の高い「次世代深海釣り」を目指し、辿り着いたのが「オール擬似」。
手返し良く、汚れず、臭わず、加えてカラーやサイズ、形状のセレクトに試行錯誤して手にした値千金の釣果が、ともすれば「数」に走りがちなこの釣りから「もう一歩踏み込んだ楽しみ」を叶えてくれる。興味のある方は是非一度、お試しを。

バケとエサは各種持参
「オール疑似」以前のある日。当日のアタリバケは「鉄板」オール濃紫だったのに対し、付けエサの鉄板たるホタルイカ肝付ゲソは見事に「滑る」。この日最も釣果を上げたのはカツオのハラモ。身肉のセンターから2枚に削いで幅5mm、長さ5cmの短冊にカット。表皮側だけでなく腹側も使用したが、腹膜でエサ持ちよくメバルが喰っても複数回使用。大きな手返しアップに繋がった。
因みにこの日は終盤アミを吐き出す個体が増えるとヒットカラーが変わり、ピンクや茶系バケに好反応を示した。この様に1日の内でパターンが変わる事も珍しくない。日本海の釣りでは同ポイントで初日は身餌のみ、翌日はホタルイカオンリーの激変を体験した事も。故にバケやエサは実績のみに囚われず、常に各種持参がお勧めだ。



オキメバル料理

同一魚種なのに産地や市場によって価格や評価が天と地ほども違う…はよくある話。味は各自の好みもあるので断定は難しいが、少なくとも現在は脂の乗り=市場価格は動かぬ事実だろう。
本種の関東での評価はイマイチ微妙?だが、重要産業種でもある「北のウスメバル」は正に別物。フジッシャー毛鈎の「藤井商会」と知り合った当時、茨城県平潟沖の個体と銚子以南の個体が脂の乗りに大きな差がある事は周知だったが、日本海個体は未体験。
「他所とはモノが違う」と熱く語る藤井氏に釣りと食への探究心が揺さぶられ、早々に釣行を決めたが、銚子以南の個体しか知らぬ仲間達からは「オキメバル『なんか』釣りに秋田まで飛行機とは、何て物好き。」と冷ややかな反応。
果たして。飛島沖で釣り上げた、額の上がグッと盛り上がる幅広肉厚個体は船上で腹腔内の脂肪塊を噴き出す極上品。後日、「飛島沖脂噴きメバル」と勝手にブランド命名(未公認)してしまう。 帰宅後仲間に各種調理で振る舞うと一線を画す脂の乗りに「これはメバルじゃない」と驚愕。翌年の釣行に同行する豹変ぶりに苦笑した次第。
因みに庄内市場では本種がマゾイ(キツネメバル)に次ぐ高値で、次がマアジ、その下にヒラメとマダイが続くのだとか。「北のウスメバル」はかなりの高級魚だ。
かつては「黒メバルより大味で旨味が薄い」なる評価が目立ったが、近年磯の香りの強い「黒」よりも「脂が乗り、癖のない身肉」の本種を推す物が増えた。
「鉄板」の煮付けは言うに及ばず、皮付きの柵を炙りポン酢や肝醤油で食す「焼き霜造り」も絶品。拙宅で人気はブツ切りの味噌汁。中華風蒸し物の「清蒸鮮魚」(チンジョンシェンユイ)もお薦めだ。口から脂を吹く様な個体が手に入った際は、是非試して欲しい。

煮付け

材料:丸魚若しくは半割(魚や鍋のサイズ、供する状態を踏まえ選択)/濃口醤油/日本酒(又は味醂)/砂糖/根生姜(又は粗挽黒胡椒)
調理

  1. ウスメバルは鱗・鰓・腸を除き、盛付時に上となる左側に浅く切れ込みを入れる。味の滲み込み易さだけでなく、皮が破れて見栄えが悪くなる事を防ぐ配慮。 大型の場合は胴中で半割りするのも可。肝は魚と一緒に煮るので廃棄せず残しておく。
  2. 水3:醤油1:酒(又は味醂)1:砂糖1/4を合せて良く混ぜ、生姜の薄切りを加えて強火で煮立てる。生姜を粗挽き黒胡椒少々に置き換える(筆者宅ではこちら)方法も。
    味醂を使う場合は砂糖の量を減らすが、各調味料の割合はあくまで目安。サッパリ系の魚では薄く、脂の強い魚は濃い目(水を減らして酒や味醂に置き換える)が基本だが、最終的には各自の好みで調整する。煮汁は多目の方が焦げ付きなどの失敗が少ない。
  3. 汁が煮立ったら灰汁を掬い、魚と肝を入れて煮る。
  4. アルミホイルで落し蓋をする。煮汁が上側まで回り、かつ吹き零れない様に火力を調整。灰汁を除きながら10分程煮る。調理時間は魚のサイズや形状により調整する。
  5. 崩さないように皿に盛付け、生姜が薬味の際は針生姜を飾って供する。

焼き霜造り
材料:皮付きの半身、若しくは柵
調理

  1. テフロン加工のフライパンを熱して表皮を押し付け、焼き目を付ける。
  2. 表皮が縮んで反り返ったら裏返し、身側が白くなる程度に軽く炙る。
  3. このまま冷却せずに引く「焼き切り」、湯引き同様に冷却後の選択は各自の好みで。
  4. ツマを敷いた皿に盛り付け、穂紫蘇、パセリ、柑橘類などを彩りよく添える。
  5. ※サッパリと食すなら小口切り万能葱と紅葉おろしを薬味に加えたポン酢、濃厚に味わうなら醤油にメバルの肝(刻む、若しくは擦り潰す)を加えた「肝醤油」がお勧め。

ブツ切りの味噌汁
材料:
ブツ切りの身/昆布出汁(粉末昆布)/味噌/浅葱(又は万能葱)
調理

  1. ブツ切りの身を昆布出汁を加えた水で、灰汁を除きながら煮る。
  2. 身が煮上がったら好みの量の味噌を溶き入れ、椀に盛る。
  3. 浅葱、若しくは万能葱をあしらって供す。

清蒸鮮魚(チンジョンシェンユイ)
材料:丸魚/長葱/香菜(パクチー)/根生姜/サラダ油(胡麻油でも可)/塩/胡椒
掛けダレ用:醤油/オイスターソース/砂糖
調理

  1. 鱗と鰓腸を除いた丸ごと一尾の盛り付け時下面に隠し包丁を入れて熱の周りを良くする。
  2. 塩、胡椒を振ってやや深めの皿に盛った丸魚を長ネギ、生姜と共に蒸器で8~十数分(魚のサイズで加減)程蒸す。ラップを二重に掛けてレンジ調理(600Wで7~8分目安)でもOK。
  3. 水100ccに対し醤油30cc、オイスターソース10cc、砂糖2.5gの割合で併せて沸騰させ、掛けダレを作る。
  4. 蒸し上がったら皿に溜まった汁と長葱、生姜を除き(崩さない様に別皿に移しても可)白髪ネギをタップリ盛る。
  5. サラダ油(又は胡麻油)大匙1程度を煙が出る程熱し、ネギの上から魚に回し掛ける。
  6. タレを掛け、香菜を添えて供す。

※画像はユメカサゴの調理


メバルの種類

ウスメバル
スズキ目メバル科 Sebastes thompsoni
国内の分布:北海道~相模湾の太平洋岸、北海道~対馬の日本海沿岸
大型は40cm、1kgを超す「オキメバル」のメイン種。体側に輪郭の不明瞭な5本の茶褐色横帯を有し、第5条は尾柄にある。新潟~東北の日本海で大量に漁獲され、市場価格も高い重要産業種。ハチメ、テリの俗称も。
釣りは銚子以北の太平洋、青森~新潟県沖の日本海が有名だが、関西でも専門に狙う場所(丹後半島沖の浦島グリ)がある。また神奈川県三浦や静岡県伊豆半島でも本種を釣る事は可能だが、北の海域に比べると魚影は薄く中深場五目の1ターゲットとしての色合いが強い。
釣期は東北太平洋岸ではマダラが終盤となる年末頃から始まり、仔魚産出の(メバル類は卵胎生)後期から産出後の4~5月上旬を最盛期に、5月末~6月上旬まで。日本海は海況もあり3月下旬スタート、梅雨前後と秋口、二度の山場があり、海が荒れ出船困難となる10月に閉幕の流れ。こちらも産後は荒喰いし桁外れの釣果をマークする事も。ハリ数10~15本の胴突仕掛けにズラリ連なる様は正に壮観。

トゴットメバル
スズキ目メバル科 Sebastes joyneri
国内の分布:函館、青森県~高知県柏島の太平洋沿岸、愛媛県伊予
ウスメバルより暖海性で、南寄りに分布する。橙の体側に鮮明な輪郭の6条横帯を有し、第6条は尾柄にある。最大25cm程度。
「何だ、沖メバルか」橙色の小魚を海に放つ釣人。「ハリスが撚れちゃうんだよなぁ。」などとボヤく内にカモメが飛んで来て、海面に漂う魚を「ご馳走様」…伊豆方面のコマセ釣りではよく見かける風景だ。ウスメバルに比べかなり冷たい仕打ちを受けている本種だが、東京湾口では専門の釣りが盛んだった時期も。水深30m程の浅場から、150mダチまでの岩礁域をメインに棲息し最大でも25cm程、浅所では十数cmがメイン。ウスメバルと比べて見劣りが否めないが関東以西の太平洋では数が圧倒的に多く、代表的な「オキメバル」と言える。
40年以上前、静岡県西伊豆の船宿兼民宿のパンフレット表紙は本種の満艦飾。「観光のお客さんが短時間遊ぶにはこの魚が一番簡単で、お土産も堅いんだ。君には物足りないだろうけどね。」と笑ったのを覚えている。取込み後は殆ど暴れずアジやイサキより扱い易い事も「ビギナー向き」な理由の一つでした。
近年メインに据えた釣りは「ほぼ絶滅」状態ながら、やや深みのコマセ釣りでは「定番」とも言える本種。やや硬質で淡白な身肉は骨離れが良く煮付けやムニエル、エスカベッシュ(洋風南蛮漬け)など、「充分オカズになる」事を知って欲しい。

ウケグチメバル

スズキ目メバル科 Sebastes scythropus
分布:青森県~土佐湾の太平洋沿岸
ウスメバルよりもやや深所(300mライン)まで棲息する。特徴的な主鰓蓋骨の横帯状大型楕円形黒斑から関東では俗称「パンダメバル」。大型で30cm程度。黒潮海域個体は食の評価が低いが、親潮海域個体は「脂の乗り」が明らかに異なり、総菜魚として上等。

カタボシアカメバル
スズキ目メバル科 Sebastes kiyomatsui
分布:相模湾~和歌山県那智勝浦沖の太平洋沿岸
かつて「ウケグチメバルの深所型」とされたが、三浦周辺の釣船では「アコウメバル」と呼び、ウケグチメバルと区別していた。主鰓蓋骨の黒斑は小さな円形。ウケグチメバルより深所に棲み、アコウダイ釣りなどで混獲される。サイズは25~30cm前後。「沖メバル」としてはトゴットメバル同様に南寄り分布の種。 他の「沖メバル」と比べ数がまとまらない、生息域の関係で脂が乗らないなどの理由で釣魚としての評価は低い。

関東では「パンダ」の俗称で呼ばれる事が多い「ウケグチメバル」。大きな黒斑の形と位置が「ジャイアントパンダを彷彿させる」が語源なのは想像に難くないが、パンダが黒いのは頬ではなく目の周り。もっとも標準和名も「受け口じゃないメバルって?」で、どちらも「突っ込んでくれ」と言わんばかりの「脇が甘い」ネーミングだ。

そんな本種、筆者が20代で入手した文献には「深所型」「浅所型」の2型が有ると記述され、それぞれの写真が掲載。当時既に「双方の型」と幾度と無く対面していたが、この2型は体色のみならず「斑紋」が全く異なり、素人目にも到底同じ魚とは思えず「本当に同種?」の疑問を拭う事は出来なかった。

それから20余年が経過した2004年2月25日、京都大学の中坊教授らの論文により「これまでウケグチメバル深所型とされた物は別種で新称はカタボシアカメバル」と報告された際に驚きの感情はなかった。それまで「浅所型」「深所型」とされてきた2型は斑紋(最も簡単な識別ポイント)が明らかに異なる事、 自身が水深250m前後の同ポイントで同日に双方を釣り上げた事が幾度もあったからだ。

「カタボシアカメバル」との初遭遇は70年代中頃の東京湾口アコウダイ乗合。 当時から三浦地区の船長達はアコウダイ釣場に多く斑紋もアコウダイに似ている本種を「アコウメバル」、やや浅所に多いウケグチメバルは「パンダメバル」と呼んで区別した。

両種の簡単な識別法は主鰓蓋骨の黒斑。ウケグチメバルでは横帯状(魚の斑紋は頭を上、尾を下に置いた状態で縦・横と表現。故にイシダイの縞は「横」、カツオは「縦」となる)の大きな楕円形なのに対し、カタボシアカメバルは「小さな円形」となる。

「生息水深による2型」は消滅したウケグチメバルだが、水深により若干の体色変化が見られ、鬼カサゴ釣場など比較的浅所(150~200m)で採集される個体は体色の橙の黄色みが強く背の褐色横帯はやや緑色掛る傾向、250mラインでは体色の赤味が強く横帯は赤や焦げ茶色に近くなる。

ヤナギメバル
スズキ目メバル科 Sebastes itinus
国内の分布:北海道日本海・太平洋沿岸、岩手県~駿河湾の太平洋沿岸、新潟県、兵庫県香住
背面は暗緑色、体は黄色を帯びた暗赤色。尾鰭後縁は暗色。頭部背面は鼻棘のみ有す。下顎は突出し、体高は低い。下顎と主上顎骨は全て鱗で覆われる。名前は「メバル」だが、大型は3kg以上とサイズ的には「メヌケ類」に近い。
本種は側線有孔鱗数が60近く(53~57)有る点で、他の日本産メバル属魚類と容易に識別されます。(海外のメバル属には60近い種もあり)
水深200~350mに棲息し、かつては銚子~北関東海域でも大量に漁獲、中でも銚子沖では「メヌケ釣りの保険的存在」として知られた。

俗称「アンポン」の語源は、メヌケが喰わない時でも簡単に鈎数繋がり、誰にでも釣られてしまう「アンポンタンな魚」なる、失礼極まりない内容。そんなウブな魚ゆえ乱獲され激減し、これらの海域では「幻の珍魚」に。本種はライトタックル化を筆頭とした「次世代深海釣り」のスタンスを考える上での「キーマン」ならぬ「キーフィッシュ」的な存在と言えよう。
ウスメバルに似た肉質&味覚だが、大型の調理は「アコウダイ」に準ずる。現在は中々手に入らない魚ゆえ、「余す事無く堪能して」欲しい。

ヤナギノマイ
スズキ目メバル科 Sebastes steindachneri
国内の分布:北海道オホーツク海沿岸、北海道~新潟県の日本海沿岸、北海道~岩手県の太平洋沿岸、 神奈川県三崎、石川県能登半島、鳥取県
体色は淡い橙色だが黄色、褐色の強い個体も。側線の上に斑紋がなく「明瞭な淡色線」となる。頭部背面は鼻棘のみ有す。涙骨の棘は目立たない。下顎には鱗がない。側線有孔鱗数は30前後。サイズは大型でも35cm程度。
水深100~150mに多く棲息。標準和名は漁師が「ヤナギ」と呼ぶヤギ類(サンゴの仲間)が茂る場所に群れる事から「ヤナギの前」。これが訛って「ヤナギノマイ」。日本海や東北太平洋の「オキメバル釣り」ではポピュラーな「混じり物」で、数がまとまる北海道では専門の遊漁も存在する。

東北地区の「大本命」ウスメバルに比べると肉質はやや硬く、脂の乗りも劣る傾向。かつて訪れた山形県の庄内市場ではウスメバルがタイやヒラメよりも高値を付けるのに対し、本種は「雑魚」として別のスチロール箱へ詰め込まれて二束三文(漁獲数の関係もあろうが)。
とは言え「良く締まった白身」は洋食や中華食材で上等。「一手間掛けて」味わって欲しい。

ハツメ
スズキ目メバル科 Sebastes owstoni
国内の分布:北海道オホーツク海沿岸、北海道~山口県の日本海沿岸、北海道~福島県の太平洋沿岸、房総半島沖、相模湾(稀)
体高は低く体は細長い。体色は淡黄赤色。背面に4条のやや暗色で不明瞭な横帯がある。背鰭棘数14本。涙骨の棘が顕著ではなく、頭頂棘を有す。
日本海釣行十数年目で初対面と個人的には疎遠ながら、新潟県の遊漁船では「全然普通に釣れる」と言われ、青森県ではスーパー店頭で目にする日本海のメジャーな総菜魚。細長い体形と「背鰭棘14本」で他種との識別は一目瞭然。体色は雄が黄色を帯びるのに対し、雌は赤色。ほぼ無縁のアカイサキ(ハタ科)との類似は面白い所。

地域により「ハチメ」「アカスイ」「ウグイス」「キンギョ」など様々な俗称を持ち、中には「アカハタ」「ヤナギノマイ」と他種標準和名と被り混乱を招く物も。
他のメバル類に比べ水分が多い柔らかな身肉は煮崩れし易く、焼き物や干物がベターとされる。また、他のメバル種よりも「足が速い」ため、産地周辺での消費が中心となり、東京近郊に出回る事は殆どない。
とは言え「良く締まった白身」は洋食や中華食材で上等。「一手間掛けて」味わって欲しい。

アカガヤ
スズキ目メバル科 Sebastes minor
国内の分布:北海道オホーツク海沿岸、北海道~山口県の日本海沿岸、北海道~福島県の太平洋沿岸、房総半島沖、相模湾(稀)
体高は低く体は細長い。体色は淡黄赤色。背面に4条のやや暗色で不明瞭な横帯がある。背鰭棘数14本。涙骨の棘が顕著ではなく、頭頂棘を有す。
日本海釣行十数年目で初対面と個人的には疎遠ながら、新潟県の遊漁船では「全然普通に釣れる」と言われ、青森県ではスーパー店頭で目にする日本海のメジャーな総菜魚。細長い体形と「背鰭棘14本」で他種との識別は一目瞭然。体色は雄が黄色を帯びるのに対し、雌は赤色。ほぼ無縁のアカイサキ(ハタ科)との類似は面白い所。
地域により「ハチメ」「アカスイ」「ウグイス」「キンギョ」など様々な俗称を持ち、中には「アカハタ」「ヤナギノマイ」と他種標準和名と被り混乱を招く物も。
他のメバル類に比べ水分が多い柔らかな身肉は煮崩れし易く、焼き物や干物がベターとされる。また、他のメバル種よりも「足が速い」ため、産地周辺での消費が中心となり、東京近郊に出回る事は殆どない。

エゾメバル
スズキ目メバル科 Sebastes taczanowskii
国内の分布:北海道オホーツク海沿岸、北海道~石川県の日本海沿岸、北海道~宮城県の太平洋沿岸
北海道でガヤ。体色は茶色で全体に淡い黄色の斑紋。尾鰭の後縁は白い。側線有孔鱗数は40~49。頭頂棘はない。涙骨下縁棘が無い。主上顎骨には狭い鱗域があるが下顎は無鱗。
本種は褐色で厳密には「沖メバル」の括りから外れるが、「ウスメバルと同所で釣れる事がある」を踏まえて紹介。
東北の沖メバル釣りでやや浅め(水深100m前後)の根を流すと、25cm級の茶色いメバルがズラズラッと繋がる事があるが、体表全体に淡い黄色の斑紋があり尾鰭の後縁は白い。いわゆる「黒メバル」こと標準和名アカ、クロ、シロの3種のメバル何れにも、これらの特徴は当てはまらない。このメバルは標準和名「エゾメバル」でその名の通り北海道に多い。
「ガヤ」の俗称は「ガヤガヤと数がいるから」と何とも直球だが、その位の普通種と言う事だろう。浅海に多く河口周辺でも見られる一方で、中深海の「オキメバルフィールド」にも棲息。岩手では本種を「黒メバル」とも呼ぶ。関東では知名度の低さから多量に入荷するも値は安く、苦肉の策か「メバル」の名で本種が店頭に並ぶのを目にする事が。「黒メバル」に比べて味が薄いとされるが大型は中々の美味。但し鮮度が落ち易いのが難点だ。



第1話 キンメダイ

キンメダイという魚
釣師のみならず世間一般にも広く知られる高級魚にして、深海釣りの象徴的存在。十数本以上の多点仕掛にズラリ連なる魚を仕掛ごと持ち上げる「お約束ショット」や大型クーラー満タンの画にはやや時代錯誤の感も否めないが、その部分も含めて入門者からベテランまで、幅広い層に人気を誇る。
眼球内部に反射板を有し、光を受けると眼が金色に輝く事が和名の由来。釣り上げた際のピンク掛った背の朱色、紫が射す腹部の銀色の見事なコントラストは釣師のみが目にできる「生時限定」のカラーである。 「キンメダイ釣り」は標準和名キンメダイをメインに同科のフウセンキンメ、ナンヨウキンメもターゲットに含まれる。



キンメダイの釣場
キンメダイは釣師のみならず、世間一般でも広く知られる美味な高級魚。
重要産業種であるがゆえに年々遊漁に対する規制は年々厳しくなっており、釣船に解放されている釣場は分布海域のごく一部に過ぎない。

ライトタックルの代表的な釣場
東京湾口 洲ノ崎沖~沖ノ瀬
神奈川県城ヶ島沖
神奈川県真鶴沖

ヘビータックルの代表的な釣場
東京都大島沖
東京都新島沖
和歌山県白浜沖
高知県室戸沖



タックルと仕掛

①ライトタックル(LTキンメ)
中型電動リールで鈎数5~10本、300号以下の錘を使用する比較的ライトなスタイル。
ロッド…全長2~2.3m。チューブラー素材のLT深海専用ロッド。

アルファタックル適合モデル
ディープインパクトLight190・220
ディープインパクトTERUスタイルRT0
スーパーディープクルーザー0
リール…水深と縄切り禍を考慮し、水深の2倍≒PE6号700m以上のキャパシティが理想。
ミヤエポックAC-3JPC、S社6000以上、D社750以上が該当。
仕掛…ハリ数5~8本のベーシックな胴突仕掛け。ハリは細地ムツ15~16号か、特殊形状でムツやクロシビカマス(スミヤキ・ヨロリ)の鋭い歯によるチモト切れを防ぐ「ホタ鈎」16号がお勧め。
ハリス8~10号70cm~1m、幹糸12~16号1.5~1.8m。捨て糸は8号を1~1.5m程度。上端にはPEラインの縒れを解消すべくフジワラ「深海用リングS」等の小型ヨリトリ器具を配す。オモリは海底に残っても環境に負担を掛けない鉄製のフジワラ「ワンダーⅠ」を推奨。ただし「船宿指定の錘を使用する」という事も付け加えておきたい。

既成仕掛
アルファタックル
DEEPMASTER 深海仕掛 ライトキンメ10本枠付 (ホタ16号・ハリス10号・幹糸18号)
集魚ギミック…ルミカ「輝泡」などの赤色小型発光体が有効だが、サメやサバ、縄切り魚が極端に多い場合はフレックスに対応する。ハリスにはヤマシタ「マシュマロボールL」を配し、浮力とフォール時の抵抗を利用してアピール。深海バケと併用の際は双方のカラーをリンクさせる。また各鈎にニッコー化成「激臭匂い玉7Φ」を配すのがディープマスター流。
深海バケ…藤井商会「フジッシャー毛鈎ホタ16号」がお勧め。紫系が◎だが、定番の橙、緑や低水温時に強い赤やピンク、高水温時に効く水色など、各色用意しておけば万全。
エサ…船宿用意はイカやサバの短冊が主で、時にカタクチイワシも。短冊のサイズは幅1cm、長さ12~13cm程度で、自作の場合もこのサイズを参考に。鈎掛けは中心線上のなるべく端をチョン掛け。ニッコー化成「ロールイカタン」など擬似餌も同様。カタクチイワシは下顎から上顎のセンターに刺し通す。

②ヘビータックル
大型電動リールでハリ数10本以上(地域によるハリ数規制あり)、オモリ1.5~2kgを使用する本格的深海釣り。

ロッド…アコウダイ用よりもやや胴に乗るアクション、若しくは使用オモリに対し「やや負け気味」となるグラス素材の深海専用ロッドをセレクト。 巻上時の復原力を抑え、口切れに配慮するのがセオリー。 口切れを抑えるクッション効果と、竿が絞られる見た目の面白さは長い程優れるが、捨てオモリ式の新島沖では上潮が速いと取り込み時にラインが前方に流れ、ロッドが長いと「ラインを掴むのに一苦労」する場合が。これら条件を踏まえ、2m程度がベストレングスと考える。

アルファタックル適合モデル
ディープインパクト カイザーG
ディープオデッセイ モデルG
ディープインパクトTERUスタイルRTⅠ
ディープインパクトTERUスタイルSⅠ
スーパーディープクルーザーⅠ

リール…高強度PE10~12号を1,000m以上巻いた大型電動リール。ミヤエポックZ9~Z15サイズが基本。

仕掛…ハリ数は各地域の規制に従い、少ない分には問題なし。船や釣場によりハリスや幹糸の太さ、長さに若干の違いはあるが、ハリス12~14号0.8~1m、幹糸24~30号1.5~1.8m、細軸ムツバリ18~19号(若しくはホタ鈎16~18号)で殆どの釣場をカバー可能。
個人的には専ら「ホタ鈎」を使用。軸部分が長い特殊形状のネムリバリで、ハリスが魚の口元に当り難い。同ポイントで混じるクロムツやクロシビカマス(スミヤキ・ヨロリ)など歯の鋭い魚がハリ掛りしても、軸部分が口元にあたるのでチモトからのハリス切れはほぼ皆無。ハリ先のネムリが深く、幹糸に引っ掛ると通常ネムリバリほど簡単に外れないのが難点だが、裏を返せば「魚が外れ難い」長所。口周りが脆いキンメには極めて有効と言えよう。

掛枠に巻き込んだ物を投入回数分持参し、出船前に2~3組(もちろん投入回数分でも良い)に餌付けを済ませておく。(掛枠への巻き方は図を参照)
捨て糸は釣場や船宿により指示が異なるが、12号を3~9mと通常深海仕掛よりもかなり長め。14号を使用する場合は捨て糸を切り易い様、ダンゴ結びでコブを1箇所造っておく。これ以上太い号柄は捨て糸をカットする際、リールのギアやロッドに無用な負荷を与えるだけなので、使用しない。

上端にミヤエポックヨリトリWベアリング」「キャラマンリングⅡ型」などの大型ヨリトリ器具+ヤマシタ「ゴムヨリトリ」5mmφ1mを配す。因みに深海釣りでクッションゴム使用を推奨するのは「巻上時の口切れ抑制」を最重要ポイントに据えるこの釣りのみ。尚アコウダイとの2本立ての場合は「アコウダイを喰わせる底叩き」に配慮すべく転向の際に「ゴムヨリトリ」をナイロンライン40号1mに差し替えるのがポイント。オモリは船宿用意の鉄筋、若しくは船宿指定重量のフジワラ「ワンダーⅠ」を使用する。ただし「船宿指定の錘を使用する」という事も付け加えておきたい。

既成仕掛
アルファタックル
DEEPMASTER 深海仕掛 キンメ10本枠付 (ホタ16号・ハリス12号・幹糸24号)
DEEPMASTER 深海仕掛 キンメ15本枠付 (ホタ16号・ハリス12号・幹糸24号)
DEEPMASTER 深海仕掛 キンメさがり200本 (ホタ16号・ハリス12号・幹糸24号)

集魚ギミック…ルミカ「クアトロレッド」等の赤色発光体を仕掛け上部、若しくはセンター付近に配すと同ポイントで混じる大ムツやアコウダイを含め有効だが、潮の動きが鈍い際にはカラスザメを引き寄せる事も。状況に応じたフレックスな対応が必要だ。ライトキンメ同様ハリスにはヤマシタ「マシュマロボールL」を配し、浮力とフォール時の抵抗を利用してアピール。深海バケと併用の際は双方のカラーをリンクさせる。また各鈎にニッコー化成「激臭匂い玉7Φ」を配すのがディープマスター流。
深海バケ…ライトキンメ同様の藤井商会「フジッシャー毛鈎ホタ」が適合するが、一投使い切りスタイルの釣りでは一釣行最低でも100本近くを用意する必要があり、現実的とは言えないかも。
エサ…用意のある船ではイカ短冊かカツオ腹モが主体。エサ持ちが良く、複数回使えるサーモン皮を用意するケースも。短冊中心線上なるべく端をチョン掛けとする。各自持参の場合は上記の他にサバやソウダガツオ。
ニッコー化成「ロールイカタン」などの疑似餌も実績あり。常温保存で「汁」も無いので扱い易く汚れず、手指や衣服に臭いが残らないのも嬉しい。

出船前に船上で準備するのが面倒(早くキャビンで横になりたい)なら、幅1~1.5cm、長さ15cm程度(中小型では10cm)の短冊を用意し、事前に2~3組(もちろん全てでも良い)にエサ付けしておく。
2kg超の大型や大型クロムツが期待できるポイントでは下バリ数本に幅1.5~2cm、長さ2cm前後にカットしたサバ短冊やスルメイカ肝付ゲソ等、大振りのエサを配して余禄を狙うパターンもアリ。(大ムツに効果大のサンマエサは新島沖など使用禁止の地域があり、事前に要確認。)



実釣テクニック

ライトタックル

エサ付けを済ませた仕掛けは順序よく船縁に並べ、投入の合図を待つ。船縁磁石が無い船では磁石板やフックキーパーの持参がベター。船長の合図に従い、オモリを軽く前方に放り投げる。
この際に注意すべき点は
①仕掛けの絡みや自らの足による幹糸部の踏み付け等がない事を確認。

②オモリを投げる時、船縁から身を引き、仕掛けから離れる。(ハリが衣服や手に引っ掛かる可能性あり)

③仕掛け全てが海中に入ってからスプールをサミングしつつクラッチを切り、スプールフリーにする。(フリーで投入するとヨリ取り器具やチェーンの重量で道糸が先に出て手前マツリ、投入ショックでバックラッシュの可能性などがある。) の3点。

オモリが着底したら一旦海底を離れるまで巻き上げて(竿先が大きく曲がってから戻る)完全に糸フケを取り、再度着底させる。
ここからが本当のタチ取り。ウネリによる上下動でオモリが海底をトントン叩く状態を設定すべく、海況、釣座、ロッドアクションなどの条件を考慮して50cm~1m程度巻き上げる。
その後もマメに底を取り直し、底叩きを維持してアタリを待つのが基本だが、「着底後5m巻け」など船長から具体的な指示がある場合はそれに従う。

エサの動きにより大きな変化を持たせるなら、時に2~3m巻いて落とすイレギュラーなアクションを織り交ぜれば良い。クラッチのON・OFFと瞬動巻上を駆使すれば、敢えて「手持ち」で誘う必要はない。 カケアガリを流れると順次水深が浅くなり、オモリが海底に着いてラインに弛み(糸フケ)が出る。岩礁底で放置すれ根掛りするので、素早く糸フケを除く。逆に下って深くなれば仕掛けは宙ぶらりん。とんでもない上層を釣らぬよう、海底を叩く竿先のサインが消えたらクラッチを切ってオモリを着底させ、底ダチを取り直す。 アタリは明確かつシャープ。基本はそのまま、喰い上げる様ならハリ間隔分ずつ、海底が「かけ上がる」なら糸フケ分ずつ順次巻き上げながら追い喰いさせる。

巻上自由なら頃合いを見計らい、「船長指示で」なら合図を待って巻上開始。
「口元が脆くバレ易い」「水圧変化に強く海面下まで抵抗、外れると泳ぎ去る」の2点を念頭に巻上はドラグを効かせた「低速気味」設定が基本。 強引はもちろんだが、遅過ぎや緩急付けたリーリングも厳禁。一定スピードとテンションで巻く事を念頭に置き、ウネリで船が上がった際や魚が引き込んだ際に巻上げが滞る程度のドラグ設定をする。この時スプールが逆転する様だと、かえって「外れ」の原因となる。ウネリが大きい際にはキーパー仰角を下げ、ロッドを水平に近付けて復原力を抑えるのも口切れを防ぐテクニックだ。

取込みは不用意に抜き上げず、玉網のアシストを。1~2尾のハリ掛りなら取り込みながら仕掛を船縁に並べる事も出来るが、連なった場合は一旦仕掛け全体を重ならない様、船縁と並行に取込み、ハリを外しながら並べて行くのがスムーズだ。
ハリスや幹糸に傷が無いか、ハリ先が甘くなっていないか、素早くチェック。エサ付けを済ませて「振り出しに戻る。」後は最初から繰り返せば良い。

ヘビータックル

投入…基本的に掛枠での投入。船長の合図に従い、舳先、又は艫から順に仕掛を下ろす。
合図と同時に投入できるよう、全ての準備を整えておく。船長は潮の流れと人数を計算して投入ポイントを設定するが、ここには「モタ付き、失敗によるロスタイム」は基本的に含まれていないから、合図で投入できない場合は「一回休み」を厳守する。

投入の遅れは自身だけでなく、「後から投入する同乗者の仕掛けが着底時にポイントから外れる可能性がある」事を忘れずに臨んで欲しい。

投入時は片手で握った掛枠を海面に対し45度程度に構え、合図と共にオモリを「落とす」(放り投げると捨て糸が切れる場合有り)。これで仕掛けはパラパラと順序良く海中に投入される。
この時、リールはフリーにせず、仕掛けが全て海中に入ってからスプールをサミングしつつフリーにするのがポイント。予めフリーにすると投入のショックでバックラッシュする、ヨリ取りの重さで道糸が先に海中に入り、手前マツリするなどのトラブルとなるからだ。投入時のトラブル軽減にヨリトリ器具ホールド用クリップを活用するのも一手だ。

アタリ~追い喰い… 船長の計算通りに着底すれば直後、時にそれ以前(この場合は「喰い上げ」となる)にアタリが出るが、そうは上手くは行かないのが現実。アタリが無ければ速やかに糸フケを除き、オモリが海底を船の上下でトン、トンと叩く状態をキープしてアタリを待つ。竿や海況による底の切り具合や底を取り直す頻度など、一尾目を喰わせる誘いのテクニックが各自の腕の見せ所、釣果に差が付くポイントだ。但し東京都新島沖などでは潮が速い際「ラインを張らずにどんどん送る」の指示が出る事も。
アタリをキャッチしたらすぐに船長に合図、も忘れてはならないポイント。どの辺りで喰って来たか、どんな反応で喰ったのか、次回投入の判断材料となるからだ。
アタリ後の操作はポイントや潮況、操船スタイルにより異なる。

大別すると
パターン①
「そのままの状態を維持」…斜面を登らず、横方向に流すスタイル。オモリを宙に浮かせず、さりとてラインは弛めずにキープ。糸フケ分は巻き取り、深くなったらその分だけ落とし込んで追い喰いさせる。

パターン②
「アタリ毎に幹糸間隔、又は糸フケを順次巻き上げ、常にオモリは海底から1m程浮かせておくイメージ」…LTキンメと共通するカケ上がりに正面からぶつけるスタイル。

パターン③
「オモリを着底させ、テンションをキープしつつ船の移動分道糸を送り続ける」…いわゆる「新島沖釣法」。アタリが出たらクラッチを切ってラインをリリース。オモリを着底(根掛り)させ、「海底に対して30~45°の角度でラインを送り込み、より多くのハリを反応の中に入れる」のが新島キンメ追い食いの基本テクニック。竿先のテンションを維持した状態で船長の巻上、若しくは糸送りストップの合図が出るまでラインを送り続けるが、テンションが強過ぎると仕掛けが移動して反応から外れてしまうし、オモリが根掛りしていれば捨て糸が切れて仕掛けが浮き上がり、早々に回収となる可能性が。(捨て糸が切れて仕掛がフケた所で喰うケースもあり、潮況次第では捨て糸が切れても巻上合図までそのまま待て、の指示が出る事もあるが) さりとて闇雲にラインを送り込んで仕掛が海底を這ってしまうとアナゴやソコダラなどが喰い付き本命の追釣が望めない、複数のハリが根掛りし仕掛が回収できない等、トラブルの要因にも。
竿先が一定の角度で曲がりつつ、ラインが張った状態を維持して送るのが基本だが、潮の遅速やポイントにより「弛め気味」「伸ばすな」など、投入毎に船長から細かな指示が出るケースもあり、アナウンスを聞き洩らさぬ様留意したい。

例えば「壁」と呼ばれる断崖絶壁ポイントでラインをリリースすれば、仕掛が斜面に貼り付き、100%回収不能。底トントンでアタリをキャッチしたら決してラインを送らずに船長の合図を待ち、根掛りさせたオモリだけを捨てて巻き上げる。6m以上の捨て糸はこのポイントでハリの根掛りを防ぐための設定だ。
何れにせよ、アタリ後の糸送りで釣果が決まる、としても過言ではない。糸送りは「新島釣法」の要と心得て、船長のアナウンスを聞き逃さず、確実に実践する事が肝心。指示と異なる仕掛操作は自身の釣果のみなず、オマツリ誘発など同乗者に多大な迷惑が掛るため、決して行ってはならない。 

巻上…投入同様、船長の指示に従って行う。基本的にオモリが付いるパターン①&②は最初からドラグを充分調整した低速気味で、緩急を付けず一定のペースで巻く。但しオモリが切れている場合はある程度スピードアップし、オモリが無いための「糸フケ」や魚が自由に泳ぎ回る事で発生する同乗者とのオマツリを防ぐ配慮を。

パターン③は「先に巻き始めた仕掛けを追い越さない巻上速度設定」が回収時のオマツリを軽減するが、捨て糸が切れた場合はラインが「立つ」まではある程度の速度で巻上げ、以降スローダウンする。巻上開始時は実水深より余分にラインが出ているのを踏まえ「巻上時間を短縮して効率を上げる」と、オモリが無い事によるオマツリの軽減を意識した物。この釣法でもオモリが残っている場合は最初からドラグを調整した低速気味で緩急付けず一定のペースで巻くが、オモリが無くても極端な早潮で終始前方にラインが走っている(若しくは同等の操船)ケースでは「オモリ有り」同様に終始低速気味で行う。また、巻上中に次回投入する仕掛を準備しておく事も忘れずに。

捨て糸の切り方… 意図的に根掛りさせる③新島釣法の場合、巻上は捨て糸を切る事からスタートする。
先ず糸フケを完全に巻き取り、ロッドが絞られた状態で一旦巻上をストップ。ドラグを目一杯まで締め込み、船の移動で捨て糸が切れるのを待つ。仕掛けを這わせ過ぎてハリが根掛りし、容易に処理できない場合はタックルを傷める前に速やかにラインをリリース。船のボーズなどに巻き付けて切る。リールの巻上力に任せて強引に引き千切る行為はギアやロッドを傷める、キーパー脱落等のリスクを有し、厳禁だ。

取り込み…多数がハリ掛りしたら基本的に仕掛の再使用は考えない「一投使い切り」。効率優先のスタンスであり、この部分はライトタックルよりも簡単と言える。
玉網のアシストを受けつつ、仕掛をどんどん船内に引き上げたら、速やかに新しい仕掛をセットして次回投入に備える。
魚の処理は投入準備が整ってから、若しくは投入後に行う。血抜きは各自判断で良いが、「海水氷」のクーラーに収めて「全体を万遍なく冷却する」は必須。但し、必ずビニール袋で魚体を包んでから収納し、氷(クラッシュタイプは特に)が直接魚体に触れない様に配慮する。
魚を包まずに海水氷のクーラーに収めると、移動時などの「揺れ」で氷が体表を擦って鱗を剥ぎ、以降も長時間の摩擦で身肉が水を喰うなど、劣化してしまう。極上の味覚を「台無し」にしないために、魚の多少にかかわらず、必ず行いたい一手間だ。



キンメ釣りに役立つ!?ディープマスターのワンポイント

①新島キンメには緑!? この日「効いた」エサとギミックは
深海釣りで常に意識するのがフジッシャー深海バケを筆頭としたギミックの「カラー」。仕掛の消耗が激しい新島キンメでは基本フジッシャーは使用しないが、ロールイカタンなどワームやチモトのマシュマロボールなど、ギミックのカラーには常に気を配る。因みにある日の釣果は殆どがビッグサバ短冊へのアプローチながら、マシュマロボールのカラーはイエロー(黄緑)、ヒットしたロールイカタンのカラーは青緑。

またこの日20枚を超えた舳先の二人が使用したのは近年新島キンメのトレンドとなりつつある「青緑」に着色した身餌で、カラーに「整合性」が取れていた。これらを見ると「新島キンメは緑が◎」となるのだが、「ヒットカラー」は状況次第で変わるのが常。ギミックも染めエサも「オンリー」での持参はリスクも大きいと認識したい。

②ロングハリス&幹糸設定「ジャイアントキンメ専用仕掛け」
ある年の初夏、船中が目を見張る結果を残したのが自作のロングハリス&幹糸の10本バリ仕掛。ホタ18号にナイロンハリス14~16号を1.5m、幹糸は24~30号を3m。一般的キンメ仕掛の倍の長さを取る代わりにハリ数は10本に抑える。通常仕掛と同じ幅を探りつつ、ジャイアントキンメや大ムツに有効な「サルカンや縦糸からより離れた位置で、よりナチュラルにベイトを漂わせる」を意識した「数より型」を狙うスタイルだ。ハリスにヤマシタ「マシュマロボール」を配すのは発光による集魚力ではなく浮力や潮受けアップでベイトの動きを期待する設定故、無発光タイプ「マシュマロボール アカムツSP」をセレクトする。

③「大キンメ&クロムツにお勧め!肝付イカゲソの半割エサ」

ベニアコウ用イカ短冊製作時の「廃品活用」だが、真鶴沖大ムツ狙いでは以前より船長お勧めの特エサだ。
胴を外した肝付ゲソは切れ味の良い包丁で眉間から左右対称に割り、切り口を上にしてトレーに並べ、グルタミン酸をタップリ振って一晩冷蔵。絞れた水分を除いて使用する。鮮度の良い物を用意できればベストだろうが、当日持参したのは冷凍イカを半解凍状態で加工し、再度冷凍保存した物。「生」より肝の持ちは良くないが、期待に違わぬ(以上!?)の効果を発揮してくれた。

④やっぱり「効く!」フジッシャー毛鈎とマシュマロボール
「捌きが難しくなり、手返しが落ちる」「現場でのメンテナンスが手間」「価格面が…」などの難点?から、特に入門者がしり込みしがちな「フジッシャー毛鈎+マシュマロボール」。高活性時には大きな差が出ない場合もあるが、某所のLTキンメでは朝一の好機に4名が仕掛けを下ろし、使用した3人はパーフェクト、未使用の一人だけがノーヒットと極端な差が出たケースも。因みにマシュマロボールのカラーは毛鈎とリンクさせるのが基本だ。

⑤フジッシャー毛鈎にマシュマロボールを簡単セット。富士工業「ラインスレッダーLTM-M」
近年深海釣りの必須ギミックとしても過言ではないヤマシタの「マシュマロボール」。空バリの場合は針先から通し刺して簡単にハリスにセットできるが、筆者愛用にして効果抜群の「フジッシャー毛鈎」は魚皮やフラッシャーモールがセットされており、針先からの装着は不可能だ。
そんなフジッシャー毛鈎のハリスにマシュマロボールを簡単にセットできるのが富士工業の「ラインスレッダーLTM-M」。本来は小型ガイドに道糸をスムーズに通すための道具だが、画像の要領でマシュマロボールに刺し通し、ハリスの端を挟んで引き抜けばセット完了。「ハリスをサルカンに結んでいない状態」の制約はあるものの、フジッシャー毛鈎とマシュマロボールの相乗効果がよりイージー、かつリアルとなるのは間違いない。
使い方はこちら

⑥サメ対策とイルカ対策

巻上時中~上層でのサメ禍(奪い喰い)対策はサメやエイの電気感知器官であるロレンチニ瓶(ロレンチーニ器官)を電流で刺激し、回避行動を促すサメ禍軽減装置「海園」の使用がお勧め。

  1. LTキンメ…「海園Ver.2イカ直結用」を最初か水中灯宜しくヨリトリ器具の下に接続して使用すれば、 宙層の奪い喰いだけでなく、海底でのツノザメアプローチ軽減効果が期待できる。
  2. ヘビータックル…捨て糸をカットし巻上開始の時点で「海園Ver.2」のカラビナを道糸にセット(引っ掛ける)して海中に投下する。LTキンメと同じく「海園Ver.2イカ直結用」をヨリトリ器具直下に配してもOKだが、特に「根切り前提」の新島沖では根切時の仕掛ロストやライン切れリスクを考慮した「巻上時セット」が得策だろう。

イルカの奪い喰いを軽減するギミックは現状販売されていないが、ヒントになる話を二つ紹介する。

  1. 北茨城干潟沖のキチジ(キンキ)釣りの際、巻上時にイルカの群れが襲来。折角の釣果をみすみす奪われたくないので船内を見回せば、根切用の金属パイプが目に入る。音波に敏感なイルカゆえ、もしかしたらとパイプを海中に差し込んで錘でカンカンカン!と叩くと、イルカの群れがパニック状態となり散り散りに。全員が無事超高級魚を手にする事が叶った。
  2. かつて東伊豆で行われていたイルカ漁にはイルカを港に追い込むための専用器具があった。内部をオイルで満たしたクラリネット状パイプで、叩くと独特の音が出る。漁の際はこれを海中に差し込んで音が出て、これを嫌って逃げるイルカの群れをコントロール、最終的に港に追い込み捕獲したと言う。
    何れも「音」がキーワードなので最終的には音波発生装置と言う事になろうが、「長めの金属パイプを用意して鉄錘で叩く」だけでもイルカ被害の軽減は期待できそうだ。



キンメダイ料理

釣人のみならず、世間一般に広く「高級魚」と認知されるキンメダイ。静岡県稲取では古くから祝魚として用いられ、現在は釣りでも、観光でも「伊豆の代名詞」的存在としても過言ではない。
脂の乗った白身で真っ先に連想されるのは「煮付け」だが、刺身(中型はゼラチン状になる表皮の食感と、皮と身の間に脂が残る「湯引き」仕立てが美味)や鮨、焼き物(塩焼き以外に塩釜焼・腹に香草を詰め、オーブンで丸焼き等)、味噌仕立ての鍋、西京漬けや干物等の保存食と様々な調理が可能。
脂の乗りが今一つならムニエル、アクアパッツァ、ブイヤベース、シーフードカレー等の洋風仕立てや、空揚げして甘酢あんかけやチリソース和えなど中華風に調理しても良い。
ここではディープマスターお勧めのキンメダイレシピ4種を紹介する。

①湯引き
材料:皮付きの半身、若しくは柵/山葵/大根(ツマ)/人参(ツマ)/大葉

  1. 柵は表皮を上にしてまな板に置く。
  2. 表皮にまんべんなく熱湯を掛ける。この時布巾を掛けると均等に熱が回る。
  3. 氷水にくぐらせて粗熱を除いて水分を拭き取り、冷蔵。
  4. 充分に冷えた所で皮ごと引いて盛り付ける。
    ※皮を引かないので身との間にある脂を落とさず、脂の乗りが未熟な個体を生食する際にお勧めの調理。ゼラチン状になる表皮の食感も秀逸だが、あまり大型だと脂が強過ぎる、表皮が厚く口に残るなど「イマイチ」の場合も。

②塩釜焼
材料:丸魚(オーブンに入るサイズ)1尾/荒塩/卵白
調理

  1. 丸魚は鱗、鰓、ワタを除いた丸ごと1尾を用意する。切身では塩が効き過ぎ、この調理には向かない。
  2. 荒塩に卵白を混ぜ、ペースト状に練り上げる。塩1㎏に対して4ヶ分の卵白が目安。
  3. 天板にアルミホイルを敷き、ペーストをのばす。魚を置いたらホイル端を魚なりに絞り、上から残りのペーストを被せて魚を塩釜で包み込む。
  4. 更にアルミホイルを被せ、230℃のオーブンで30~45分(魚のサイズで調整)焼く。
  5. 塩釜のまま食卓に出し、食べる直前に釜を崩す。松葉等を添えると更に引き立つ。柚子やカボスを絞って食す。

③西京漬け
材料:
切身/西京味噌/味醂/日本酒/塩

調理

  1. 切身に軽く塩を振り、3時間冷蔵する。
  2. 西京味噌500gに酒・味醂各50ccを加えて練り上げ、味噌床を作る。
  3. 切身の水気を拭き取り、味噌床に漬け込む。直接漬け込んでも構わないが、味噌・ガーゼ・身・ガーゼ・味噌の順に挟んで漬け込めば味だけが染込み、焼く時に味噌を落とす手間が省ける。
  4. 2〜3日漬けると食べ頃。味噌床から出して(直漬けは味噌を洗い落とし、水気を拭いて)1枚ずつラップに包み、冷蔵、または冷凍保存。
    ※キンメダイのみならずベニアコウ、アコウダイ、クロムツ、アブラボウズなど脂のある魚、メダイやマダラなどアッサリ系、何れも美味な「深海ターゲットにお勧め」の調理法。

④煮付け
材料:丸魚、切り身、兜の半割など、鍋のサイズや供する状態を踏まえて選択/濃口醤油/日本酒(又は味醂)/砂糖/根生姜又は粗挽き黒胡椒調理
調理

  1. 丸魚は鱗、鰓、腸を除き、盛付時に上となる左側に浅く切れ込みを入れる。味の滲み込み易さだけでなく、皮が破れて見栄えが悪くなる事を防ぐ配慮。肝は一緒に煮るので捨てずに残す。
  2. 水3:醤油1:酒(又は味醂)1:砂糖1/4を合せて良く混ぜ、生姜の薄切りを加えて強火で煮立てる。 生姜を粗挽き黒胡椒少々に置き換えても良い。味醂を使う場合は砂糖の量を減らすが、各調味料の割合はあくまで目安。 脂の乗ったキンメダイでは濃い目(水を減らしその分を酒や味醂に置き換える)が基本だが、最終的には各自の好みで調整する。煮汁は多目の方が焦げ付きなどの失敗が少ない。
  3. 汁が煮立ったら灰汁を掬い、魚と肝を入れて煮る。
  4. アルミホイルで落し蓋をする。煮汁が上側まで回り、かつ吹き零れない様に火力を調整。灰汁を除きながら10分程煮る。調理時間は魚のサイズや形状(丸・切身・兜)により調整する。


キンメの種類

キンメダイ

キンメダイ目キンメダイ科 Beryx splendens
分布:釧路沖以南~インド・太平洋域。大西洋、地中海
眼球内部に反射板を有し、光を受けると眼が金色に輝く事が和名の由来。
幼魚は背鰭の第2軟条が糸状に著しく延長する(画像参照)が、体長15~20cm程度で消失。 釣り上げた直後の体色は冒頭の美しいコントラストだが、時間が経過すると店頭で見慣れた全身緋色に変化する。他2種と区別するため、敢えて「本キンメ」と呼ぶケースもあり。
フウセンキンメとの識別は「後鼻孔が溝状で細い」点(画像参照)。
3種中最大となり、伊豆諸島沖では60cm以上、4kg超の個体も採捕される。

因みに本種水揚げ日本一の静岡県下田漁港では本種を
地キンメ…伊豆大島や新島周辺の特定海域など、神津島より北で日帰り一本釣り個体
島キンメ…神津島周辺から八丈島周辺の特定海域の日帰り一本釣り個体
沖キンメ…主に大型漁船(キンメ船)が八丈島沖~青ヶ島で数日間漁をし、水揚げする個体

と漁場により3種に区別(価格も異なる)するが、学術的には同一種である。

フウセンキンメ

キンメダイ目キンメダイ科 Beryx mollis
分布:相模湾以南~沖縄諸島
キンメダイと同一種とされていたが1959年に新種記載。一旦無効(キンメダイと同種)とされるも、93年に改めて別種と認定された「第3のキンメダイ」キンメダイよりやや体高が高く、 釣り上げた際に腹が膨れるのが「フウセン」の由来だが、確実な識別点は「後鼻孔が楕円形で大きい」点(画像参照)。
2尾が並んだTOP画像は「典型的な」フウセンキンメでキンメダイと識別は容易。対して1尾の画像は東京湾口沖ノ瀬で採捕した「鼻孔は間違いなくフウセンキンメだが、体高が低目で、腹鰭も短めな感じ」と京都大学の博士が画像に違和感を示した個体。この日は複数の同型を採捕したが、後日画像での「発覚」のため、DND検査には至らず。「今度採捕したら」の約束だが、この手に「あるある」の以降巡り合う事無く今日に至る。最近他魚種で取り沙汰される「ハイブリッド」の懸念も持ちつつ、再採捕を期す。
本種は神奈川県三浦半島では「アブラキンメ」と称しキンメダイと区別する船長もあるが、現状「フウセンキンメ」若しくは「トロキンメ」の名で明確に区別し、専門に狙うのは和歌山県南紀地区のみ。
キンメダイよりもやや深みに多い傾向で、反応(魚群)幅もキンメダイに比べて狭い印象。市場でキンメダイと区別することは殆ど無いが1kg未満でも脂の乗りがよく、トロ系白身好きには堪えられない美味。

ナンヨウキンメ

キンメダイ目キンメダイ科 Beryx decadactylus
分布:南日本以南。インド・太平洋域、大西洋、地中海
他2種より体高が高く側偏し、鱗も大きい事で識別は容易。その体型から釣りでは板キンメ、 若しくは平キンメの呼称が一般的。 鼻腔下に牛の角のような顕著な鉤状棘を有す(添付画像)ことから「角キンメ」と称す地域も。 やや浅みの250~300mに多く棲み、大型でも45cm・1.5kg程度。 現状専門に狙う事は少なく、中深場五目や深場アカムツ、アラなどのゲスト的色合いが強い魚。 他2種のキンメダイがピンク色で柔らかい肉質なのに対し本種はやや硬質の白身。基本的に食感が異なり食の評価は人それぞれだが、個人的には1kg以上の脂が乗った個体は評価に値すると考える。