注)この記事は以前に一度旧ブログでアップしたものです。第二回以降も、月に一回程度新規アップしていく予定ですので、お楽しみに!
「岡本さんのは本物っぽいですね!」複数人のロッドが弧を描いた8時45分、確かな重量感と時折見せるキレの良い抵抗に脳裏を過る金茶色の魚体。開始後1時間足らずの幸運、水深の半分以上を巻き上げ今日はイチ抜け…そんな気の緩みを見透かす様にヨタ波一発、バランスを崩し途端にテンションが消える。油断大敵、好事魔多し、後悔先に立たず。無言で天を仰ぐ。
TEAM OKAMOTO真夏の恒例行事・新潟県間瀬港「光海丸」での沖五目仕立船。「沖五目」とは間瀬港の南北に点在する水深200m前後のポイントで超高級魚アラをメインにマゾイ、ウスメバル、アカムツ、マダラ、ムシガレイなど、何れもメインターゲット足り得る魚達が脇を固める中深場の五目釣りだ。
メンバー7名で臨んだ今回も昨年同様好天に恵まれたベタ凪の日本海。この日小林聡船長がセレクトしたのは航程2時間の佐渡沖。朝一と昼頃にヒット確率が高い事を踏まえ、ほぼ直線状に並ぶ大アラポイントの最遠部からスタート、開拓中の新ターゲット試釣を挟み、順次港寄りのポイントをチェックする段取りだ。
光海丸のアラ釣り概要
ロッドは中深場用、又は青物用2,1~2,4mの錘負荷150~250号クラス、リールは電動リール3000or500番リールにPE5~6号をフルキャパシティ。仕掛は下図のとおりナイロン18号ハリスの胴突4本、錘は親子サルカンにフックで直結、鈎はKINRYUホタ17号赤、チモトに夜光イエローのマシュマロボール。
付餌はやや細めの16~18cm冷凍マイワシがメイン。
私が使用したロッドは、ディープインパクト・カイザーT。
真夏の青い海と、蒼いブランクス。
釣法は「棚を取ったら放置」…関東周辺のセオリーとは大きく異なる。
ともすれば異端とも思えるそれら全てには経験と実績に裏打ちされた確固たる理由が有る。
着底の速さを意識したリールサイズ。10kg超も意識したライン号数。鰓蓋縁でのカットリスクを踏まえたハリス、イワシの顎を壊さずに刺し通しながら、大アラに伸されないハリ軸径と強度のバランス。同地のアラが主食としているであろう、ニギスに準ずるサイズと形状。根掛りのほぼ無い緩やかな斜面で海底のターゲットを散らさない工夫。説明されれば一つ一つが同地の釣りで理に叶った設定であると納得させられ、「郷に入らば郷に従え」の言葉そのままに臨む間瀬沖だ。
いきなりビッグヒット!?
8時前にスタート。「一度棚を取ったらオモリが底に着かない限り触らない」釣法も相まって、両舳先のスロジギ組以外は音無しの構えで竿先を注視する。
開始5分、右舳先の佐藤氏、2番のアルファタックルスタッフ相川君とジギングとエサにほぼ同時ヒット。程なく自身のカイザーTにも派手なアタリ!
「いきなり喰ったかな!?」小林船長の弾んだ声が船上に響くが…内心「そんなに上手い事行かないんじゃあ…」と疑心暗鬼。それでも上層迄断続的な突っ込みにほのかな期待も。
巻上を終えて覗き込む海面下には白っぽい魚影。2.3kgのタラに、一文字違いだと苦笑い。
ジグの佐藤氏は小アラ、相川君は釣歴初の4.5kgマダラに破顔一笑。
開始間もなく、ミヨシのジギング、2番はエサで狙う相川君にダブルヒット
ヨタ波で急転直下
2流し目はノーヒットで船を回した8時45分。着底直後のアタリはまたも相川君。続いて左舷側二人もロッドを曲げる。カメラ片手に見守る最中、自身の置き竿にも叩き付ける様なアタリ!
釣座に戻ってロッドを手に取り、一呼吸置いてスーッと聞く様にアワセをくれればギュン!と持ち込む確かな重量感。先のマダラより確実に強く、鋭い抵抗に「今度はホンモノ」と確信のスイッチON。
強く鋭い引きに本命確信・・・だったが・・・
途中幾度もの突っ込みをいなして残り50m、ここで冒頭のアクシデントでよもやのポロリ。回収した仕掛のイワシエサは無傷。上鈎のワームへのアプローチは何としても獲りたかった一尾だけに重ね重ね残念! 左舷では小アラ、相川君が2尾目のタラを取り込む中、日に一度有るか無いかのチャンスを逸した精神的ダメージは計り知れない。
9時に佐藤氏がジグで当日最大6.5kgのマダラ、その後船中35~36cmの小アラ、ヤナギノマイ、小型マゾイなどがポツポツ。煮え切らないアタリでイワシを齧っていくのはジグに結構反応していたスルメイカや船中2尾が上がったマフグの仕業か。
佐藤氏がジグで釣ったのはマダラでは当日最大サイズとなる6.5kg
ゾイとヤナギノマイ
イワシをかじるイタズラは、マフグの仕業か
天は我を見捨てず
5流し目の9時20分、ジグからエサに切り替えた佐藤氏がいきなり2kgの大本命をキャッチし羨望の眼差しを浴びる。続く流しも複数の小アラが浮上、まだチャンスは有ると気合を入れる。
ここで下鈎に配したマシュマロボールを夜光から同地で高実績の夜光イエローに交換。合図と共に投入すれば。またも相川君に着底直後のアタリ、次はこっちにアタるぞと身構えた直後、竿先に「クンクン!」と前アタリ。すかさず手に取り送り込み、第2信を待ってリフトアップした瞬間。
「ギュギュギューン!!」一気にカイザーTをなぎ倒す強信が襲う。獲り損なった魚よりも確実に大きい。正に千載一遇、意地で引き寄せたワンチャンス。絶対に逃してはならじとグッと腰を入れ、スタンディングでのヤリトリ開始。不規則な突っ込みとウネリに細心の注意を払いつつ巻き上げる200mの何と長い事か。暫しの後、海面下に揺らめいたのは紛う事なき金茶色。最後にブクブクと泡を噴き出し、海面に横たわった62cm、3.5kgの雄アラの口元には思惑通りの下鈎がガッチリ。に拳を天に突き上げて勝利宣言。玉網を差してくれた小林船長とガッチリ握手、互いに安堵の笑顔を交す。
精悍な顔つきの雄アラ、62cm 3.5kg
相川君にも本命。アラのダブルヒット
一頻り撮影の後に大きく移動、11時より新釣物の試釣。同地では「誰も狙った事が無い」という中深海ターゲットが群れる海底映像撮影に立ち会った小林船長の初挑戦に期待満々で臨むも底潮ビタ止りでノーアプローチ。次の機会に期待して今回は1時間程で撤収する。
今後も期待充分
アラ場に戻り第2ラウンド開始も、個人的にはセミリタイアのお気楽モード。船中小アラ、ウスメバル、ヤナギノマイ、40cm近いムシガレイなどが飽きない程度に喰い続く。12時半過ぎには1~1,3kgのマゾイがパタパタッと上がり、自身も40cm・1kgで土産を追加。
終盤には大サバの横槍もあったが、納竿の15時半までに船中3.5kg最大にアラ23尾、kg級マゾイ4尾、マダラ6.5~2.3kg6尾を筆頭にオキメバル、ムシガレイ、ホッケ他で7名全員何かしらの土産を確保。
フィールドスタッフ・互氏の良型マゾイ
アルファタックルモニターの川添氏。これも良いマゾイ。
次回の課題となった試釣含め、来夏の再会を約して間瀬漁港を後にした。
シーズン真っただ中の間瀬沖アラは期待充分。この秋、チャレンジしてみては如何か。
因みに1週間熟成のアラは特筆に値する美味だった事を付記しておきたい。
ディープマスターのワンポイント
間瀬沖アラに細めの冷凍イワシが「イチバン」の理由とは
光海丸で最も実績の高いエサは乗船前にワンパック¥400で購入できる冷凍マイワシ。アタリが少なければ4パック、高活性時は5パック持参が船長のお勧めだ。
因みにこのイワシはやや細身で全長は16~18cm程度。ビッグなアラを狙うのだから、食用に販売されている丸々太った大羽イワシなら更にアピールが強く有効では?…と思いがちだが、小林船長は「大羽イワシじゃ喰いませんよ」と事も無げに言う。
水族館や研究者の依頼で採集も引き受ける事もある小林船長はアラ場で漁獲されるニギス(下の画像)がアラのメインベイトだからでは、と考えていると言う。
かつてニギスの生体を採捕して欲しい旨の依頼が有りアラ場でサビキ仕掛けを下した際は、ハリ掛りした魚は尽く奪い喰われたのだとか。
ニギスのサイズ感とシルエットが近い細めのマイワシが間瀬沖のアラには「マッチ・ザ・ベイト」なのだろう。ならばニギスを使えば…と思えるが、底曳網で採捕した物を入手する事は可能だが、鮮度が良くてもマイワシよりも口周りが脆くホタ17号のハリ掛けとエサ持ち面に難がありNGなのだとか。
間瀬沖アラには「ビッグベイト・ビッグフィッシュ」のセオリーすらも当てはまらない様だ。
【ディープマスター タックルデータ】
ロッド: アルファタックル MPG ディープインパクト カイザーT
(製品名をクリックすると製品ページを見れます)
※カイザーTのロッドエンドに装着し使用
リール:電動3000番
ライン:ゴーセン ダイバーX8 5号
仕掛:
深海バケ:藤井商会 フジッシャー毛鈎ホタ18号
集魚ギミック
集魚灯:ルミカ 輝泡グリーン
バッテリー:ハピソンリチウムイオンバッテリーYQ-100
船宿紹介
光海丸 新潟間瀬港
℡ 080-2291-5477
小林聡船長
【詳細】
「沖五目」
乗合…1名 ¥15,000
仕立…平日¥170,000・土日祭¥180,000(12名まで可能)
氷(一袋6㎏¥600)とイワシ(一袋¥400)は乗船前に購入。
ホタルイカ1パック、サバ1尾はサービス。
交通/関越道~北陸道「巻潟東」IC~間瀬港へ。