第10話(最終回) ベニアコウ
スカイツリーに東京タワーを重ねても、まだ届かない千尋の海底から、紺碧の海面を割って花開く、真紅の大輪。目にした者を虜にする究極の深海ターゲットが「魔性の紅」ことベニアコウ。ここが深海釣師の終着駅だ。
ベニアコウの釣場
現状遊漁が行われる釣場を紹介。水深は北海道~東北北部で700m、これ以南では1,000m前後にアプローチする「究極の深海釣り」。
北海道浦河~静内沖
青森県津軽海峡
岩手県小本沖
千葉県白浜沖
相模湾(城ヶ島西沖~真鶴沖)
静岡県初島~富戸沖
静岡県御前崎沖(駿河湾)
タックルと仕掛
「スカイツリー+東京タワーの天辺からピンポイントに仕掛を下し」着底まで十数分、巻上は裕に30分以上。殆どの釣場で1日の投入が僅か4回という釣りのスケールとボウズ覚悟のスタンスは正に深海釣りの頂点であり究極として過言ではない釣り。その水深と最大数十㎏にもなるエキストラの存在を踏まえてタックルも「最強&最大級」ながら長時間を要する巻上にはデリケートな部分が存在。単に硬い、強いでは不充分だ。
ロッド
500~700号と最大級のオモリを使用するが、単に錘負荷をクリアするだけでは不充分。水深1,000mの海底を叩くアクション、本命のみならず深海アナゴのアタリすらも確実に伝達する敏感な穂先、数十kgにも達する大負荷に負けない強度と粘り、口切れさせないしなやかさ。これら条件を兼ね備えたグラスチューブラー素材、2m程度の深海専用ベニアコウ・ヘビータックルアコウダイ対応ロッド。
アルファタックル適合モデル
ディープインパクト カイザーR
ディープオデッセイ モデルR
ディープインパクトTERUスタイル RT-Ⅱ
リール…1,000mラインの釣りではPE10~12号1,600m以上のラインキャパシティが必須ゆえ、最大級電動リールが基本。ベニアコウは口周りが脆く荒天時や中間地点での一際激しい抵抗の際に口切れのリスクがあり、巻上力のみならずドラグ性能も重要な要素となり、ミヤエポックの9サイズ以上をセレクト。
糸巻量が多い機種は高切れなどライントラブルに対しては安心な半面、スプールの幅と重さにより糸巻量が少ない機種よりも仕掛の降下速度が遅くなる傾向は否めない。これが釣果を分けたケースも少なからずあるため敢えて9サイズを選択、予備リール若しくは巻替用ラインを持参するスタイルもあり。
北海道や東北北部の水深700m前後では9サイズに10号1,600mで全く問題ない。
仕掛…
関東周辺(水深1,000m)…
幹糸40号3~4m、ハリス24号1.2~1.5m、捨て糸16号1.5~2m、鈎ムツ25~28号の胴突8(~10)本がベーシック。鈎数やスペックが大きく異なる場合は船の指示に従うが、鈎数に関しては
①現状キンメやアコウダイの様に一時に多数が連なるケースは殆ど期待できない
②幅広く探る目的の本数設定ならば幹糸間隔を長く取り仕掛全長を合わせれば同意である
事から「鈎数を抑えて仕掛の着底の早さと捌き易さの優先」が得策と考える。鈎数10本以下なら乗合船でも2組を交互に使う事で一日の釣りに対応可能だが、縄切り禍などのロストを踏まえ投入回数分(通常4組)の持参が基本。 上端にはミヤエポック「ヨリトリWベアリング」等の大型ヨリトリ器具。錘は船宿指定号数を使用するが、700号など製品がない場合は同号同形状の2個を抱き合わせビニールテープを巻き付けて固定。錘の環をPEや補修糸で縛って輪を作り、ここに捨て糸を接続する。
アルファタックル 既成仕掛
DEEPMASTER深海仕掛 ベニアコウ8本枠付
北海道~東北北部(水深700m)…
アコウダイ(メヌケ)仕掛に準ずるスペック。関東周辺の水深1,000m仕掛と比較して各ラインが細め、短めの設定となる。 幹糸24~30号1.2~1.5m、ハリス14~16号60~70cm、捨て糸14号1m、鈎ムツ22~25号の胴突5~8本。 沈船根にアプローチする船では「幹糸下半分はハリスと同程度の号柄とし根掛り処理に配慮」を推奨するケースもあり。仕掛上端にはミヤエポック「キャラマンリングⅡ型」等のヨリトリ器具。錘は素材指定がない場合、海底に残っても環境負担の少ない鉄製「ワンダーⅠ」を推奨する(特に沈船ポイント)※ただし「船宿指定の錘を使用する」という事も付け加えておきたい。
集魚ギミック
発光体は有効なギミックだが、過剰なアピールはソコダラ類を筆頭としたエキストラを先に引き寄せるので「匙加減」を意識する。水中灯はミヤエポック「フラッシュカプセルLE-S夜光」を基本に、宙層での横槍(シマガツオやアブラソコムツ)が顕著な場合は発光パターンが選べるルミカ「クアトロ 」のレッド(赤色発光)を選択。ヨリトリ器具直下に「万一本体が破損しても仕掛の回収には影響のない」ブランコ式でセットする。
空鈎の場合はヤマシタ「パニックベイトアコウL」やニッコー化成のイカゴロエキス配合「スーパータコベイト6インチ」を鈎1~2本置きに配す。ヤマシタ「マシュマロボールL」は鈎サイズ(重量)を考慮し2個で使用。タコベイトや深海バケのカラーとリンクさせるのが基本。
深海バケ…藤井商会「フジッシャー毛鈎」は青紫、橙が鉄板カラー。他に濃緑や白(蛍光紫)、北方海域では紅色(赤)やピンクも必需。関東周辺では筆者がベニアコウ用に開発を依頼したムツ28号、北海道~東北北部ではムツ22~23号がお勧め。
エサ…エサ持ちとエキストラのアプローチを抑える意図から、スルメイカの短冊が基本。16~20サイズ(8kg 箱に16~20杯の最大サイズ)をツボ抜きして胴を開き、縦方向に5枚目安でカットした大振りの短冊が基本。グルタミン酸をタップリ振って一昼夜冷蔵して味付け&余分な水分を除き、頭側縁の中心線上端にチョン掛けで使用。他に小型ヤリイカ一杯掛け、サーモン皮の短冊など。
但し岩手県小本沖の沈船根ではやや小振りなサンマの半身(船上で下して使用)が鉄板餌。イカ短冊は△とされる。
疑似餌…ニッコー化成「ロールイカタン150cm」を25~30cmにカットし単体で使用。全8色からヒットカラーを見付け出す楽しみも有り。
その他のギミック
サメ被害軽減装置 「海園」
サメやエイの電気感知器官であるロレンチニ瓶(ロレンチーニ器官)を電流で刺激し、回避行動を促す器具はこの釣りにも有効。製品の耐水圧を踏まえて巻上開始後残りライン700mを切った所で「海園Ver.2」のカラビナを道糸にセット(引っ掛ける)して海中に投入するのがお勧めだ。
また取込時には巻き上げた「海園Ver.2」を再度海面下に沈めた状態にして仕掛を手繰る事が船縁でのサメ禍回避に繋がる。
磁石板
回収した仕掛を順序良く並べ、移動中若しくは次回投入後に掛枠に巻き込めば2組交互の使用で1日の釣りが可能。持参の場合は鈎数に応じた長さをセレクトする。
実釣テクニック
関東周辺では水深の関係もあり一日4(~5)投が基本だが、一部短いスパンで7~8回の船も。
仕掛が短くやや水深の浅い東北~北海道では6~7投が通常。リールのドラグは糸巻フルの時点でロッドを介さず直接スプールからラインを引き出す状態で3kg程度に設定。ウネリで船が上がった際に巻上げがスローになる位がベストチューニングだ。
投入は船長の合図に従い艫、若しくは舳先より順。掛枠使用が基本だが、船や釣人の技量により「船縁に仕掛を並べて」が可能な場合もあり。
何れのケースも仕掛が全て海中に入るまでリールはフリーにせず、クラッチを繋いでおく。ヨリトリ器具等の重量で道糸が先に海中に入って起こる手前マツリや仕掛投入直後のバックラッシュを防止する配慮だ。
ヨリトリや発光体は竿先でブラブラさせず、手元まで引き寄せておく事で枠から放出された鈎が引っ掛かるなどのトラブルが防げる。ヨリトリ器具ホールドクリップなどを活用しスムーズな投入を心掛けたい。
仕掛が海中に入った時点でスプールをサミングしつつリールをフリーにし、バックラッシュに注意しながら海底まで錘を落とし込む。水深1,000mでは着底に10分~15分程度を要する。途中船が前進、後退する事で宙層でラインのリリースがストップ又はごくスローになる場合があるが、そのまま待てばスプールが回り出しラインのリリースは再開される。但し糸フケが出たままでストップ、若しくは極端に遅くなった降下速度が維持される場合はアブラソコムツやバラムツ、シマガツオが鈎掛りしたサイン。海底まで仕掛が下りずオマツリの原因にもなるので早々に巻き上げる。
アブラソコムツやバラムツは20kg超でも当初は比較的スムーズに上がって来るが海面に近づくに従い激しく抵抗。海面でも大暴れするので、処理には充分に注意する。
無事錘が着底すればラインは大きくフケる。ラインの弛みを最小限にすべく錘が海底を離れるまで最高速を設定し瞬動ボタンで巻上げる。電動で巻くのは錘が海底から離れる際に竿先の曲がりが一瞬大きくなり、やや戻るのを的確に視認するため。最高速で巻くのは短時間で糸フケを除く意図に加え、錘が海底を離れる瞬間にモーター音が一瞬高くなるのを聴覚で確認できるから。
錘が海底から離れたらクラッチを切って再度着底、1~2m程度巻いて船の上下で錘が海底をトントンと叩く状態を維持してアタリを待つ。
的確なロッドセレクトならば他と一線を画す本命のアタリはもちろん、エキストラのアプローチもリアルに伝達される。ベニアコウのアタリは明確でシャープな「キレ」があるがムネダラやキタノクロダラは本命と同等、若しくは上回るサイズでもやや「鋭さ」に欠け、相模湾の最多エキストラであるイバラヒゲは前出2種のアタリを小さくしたイメージ。ホラアナゴ類は悪戯するような煮え切らない動きとして竿先に現れる。数十kgのアブラボウズはロッドを海面に突き刺し、少なくとも10m以上のラインを引き出して行く。
アタリ後の操作は仕掛は送らずに立てたまま、ポイントの潮が効いていなければラインを張り気味で効いているならやや弛み気味(錘を底に着ける)、錘を着底させ船の移動分ラインを送る…など、船や釣場、潮況より指示が異なるため、必ず船長に確認する事。
巻上げは船長指示に従い順番、又は一斉が通常だが、本命確信やアブラボウズのアタリは船長に一声掛けて巻上OKの船もあり。ヒット時の巻上は中~中低速が基本だが、根掛りなどで錘の無い場合はオマツリを回避すべく、若干スピードアップする。開始後暫くと、水深の中間地点周辺で巻上が滞るような抵抗が見られれば期待大。
「浮かぶ魚」が鈎掛りしていれば海面に近付くに連れてラインの進入角度は次第に浅くなり、巻上げが終わって手にしたラインに錘の重量は感じられず、程なく仕掛が浮き始める。
最大20kgを超すムネダラは海面まで上げても腹を返さないが、数㎏~大型は十数㎏になるキタノクロダラを筆頭にイバラヒゲ、ヒモダラ、オニヒゲなどのソコダラ類は何れも「浮く魚」。慣れるとアタリの時点でおおよそ見当が付くとは言え、この時点ではまだ100%安心も、否定もできない。期待と不安が交差する瞬間だ。
仕掛の流れる先を見やる内、海中に白っぽい影が見えてきたなら本命。白が橙、そして緋色と次第に濃くなり、海面を割った瞬間に鮮やかな紅色が弾ける。上潮の早い際には数十m先に浮かび上がる事も。幾度と無くベニアコウを釣り上げたベテラン釣師や船長ですら興奮するクライマックスシーンを存分に堪能しよう。
紺碧の海面に咲いた大輪を愛でつつ、仕掛を磁石板に並べながら、ゆっくりと手繰り寄せる。船縁が高い場合はギャフを下顎に打つが、手が届くなら親指に指サックをはめ、「魔性の紅に敬意を表して」ハンドランディングするのが筆者流「TERUスタイル」。
次回投入は別仕掛で行い、並べた仕掛は鈎先の鈍りやハリス・幹糸・捨て糸の傷をくまなくチェック。必要ならメンテナンスして掛枠に巻き込む。着底までに10分余り、巻上は20分以上。時間はタップリある。「後悔先に立たず」とならぬよう、抜かりなく行いたい。
一回流したイカエサはそり返って「泳ぎ」が悪くなる。投入毎の交換が理想だ。何れにせよ、一本獲れば「勝ち組」。それだけの価値とロマンがこの魚にはある。
ベニアコウに役立つ!?ディープマスターのワンポイント
魔性の紅への最短コース「郷に入っては郷に従え」
「職漁専門の場所はガリガリの荒根も有るけれど、遊漁で攻める3箇所は比較的根掛りが少なく釣り易い場所」とは城ケ島西沖でベニアコウを狙う船長の弁。ここは職漁でも「下から3本までの鈎」がメインとなると言う。故にアプローチは仕掛を張り過ぎず常に錘が底を叩く、若しくは引き摺る位のイメージでアタリを待つ。
当日筆者が手にした8,5kgもこの釣法での一番下鈎。同じ相模湾でも「仕掛を立てて上を意識」と対照的な指示の釣場、船長もあるが「郷に入っては郷に従え」こそ緋色の大輪への最短コースなのだ。
「真鶴沖のベニアコウは上を釣れ!」
神奈川県真鶴沖では「仕掛を立てて、高目を釣る」カケアガリポイントのオキメバルやキンメダイ釣りを髣髴させるスタイルを指示する船がある。捨て糸を4.5mと長く取り更に底から1m以上切った状態でアタリを待つ。
アタリ後は仕掛を立てたままの状態で追い喰い&巻上の合図を待ち、この間に糸フケが出たら順次巻き取る。低いタナを釣ったり、仕掛を送り込んだりすると「クロッチョ」ことイバラヒゲがズラズラと連なるので要注意。捨て糸が短い場合はそれなりの高さを維持する(底を切る)事が必要となる。
水中灯は2種用意すべし。
暗黒の超深海を探るベニアコウ狙いに、水中灯は必需品。超深海=最大級と考えがちだが、筆者が鈎数8~10本の仕掛に使用するのは基本的に「フラッシュカプセルLED-S/夜光」。これ以上のサイズは意図的にアブラボウズを狙う以外はエキストラが多くなる傾向ゆえ使用しない。
因みに春先の相模湾にはシマガツオが回遊。S/夜光でも、仕掛を止められる事がしばしばある。水中灯を外すのが最もイージーな対処だが筆者愛用のフジッシャー毛鈎やマシュマロボールが威力を発揮し切れなくなる可能性があり、光源無しは極力避けたい。
先ず「フラッシュカプセルLED夜光」を同程度光量の赤色発光ルミカ「クアトロ」レッドに交換。状況を踏まえて発光パターン(高輝度点滅・ゆらぎ回転・ホタル点滅・常灯の4種。アピールが強い順)を選択して宙層の厄介者に対処する。
南房のベニアコウは蛍ムラベイトが◎
千葉県南房のベニアコウ釣りでは以前から「橙色のタコベイト」が秘策とされてきたが、近年は蛍ムラが◎で赤色が○、橙はイマイチの△で、夜光はソコダラばかりでNGだと和田港の船長。
「でも、喰わない時は全く喰わない」ので全鈎に蛍ムラを配すのは危険だ、とも。この辺りは深海バケと共通する部分。タコベイトは2~3本おきに実績カラーをメインに配色し、深海バケ同様に状況に応じたカラーチェンジや増減が得策だ。
鉄板餌はサンマ半身。関東とは異なる岩手県小本沖
サンマがマダラの餌として鉄板中の鉄板なのは第3話でも解説したが、同目に分類されるソコダラ、チゴダラ類もこの餌には極めて反応が速い。マダラの項で記した鈎掛けなら水深1,000mを上げ下げしても餌落ちしない事は実証済みでサイズ的にもベニアコウにマッチするが、関東周辺ではエキストラのアプローチが早過ぎて選択肢から除くのが通常だが。
例外なのが岩手県小本沖。「ここではサンマの半身が一番、イカはあまり良くない」と船長が断言する沈船根は関東周辺に比べソコダラの数が極めて少なく、強い臭いと表皮の光でアピール度の高いサンマ餌が圧倒的優位。船上で用意された「鮮度の良いやや小振りのサンマ」を3枚に下して使用するのが基本(表皮の輝きが良いとされる)だが、味付加工を施せば店舗購入のサンマでも遜色ない(以上の!?)釣果が期待できる。但しサイズ感は船用意の半身と合わせる(大き過ぎたら整形する)のがベター。
仕掛や釣法も同様だが、セオリーや自己の経験に固執せず「ご当地スタイル」をベースに据えた上で更なる工夫を施す事が重要だ。
ベニアコウ料理
アコウダイより遥かに脂が乗った身肉は刺身より鮨が喜ばれる傾向。因みに生食には大型よりも身の肌理(きめ)が細かい小型(3~4kg)がベター。 鍋(水炊き)も絶品。身肉の脂肪でポン酢がドレッシング状態になるので「替え」を用意しておく。 煮付け、焼き物、漬け物(味噌漬・粕漬・さごはち漬等)も合う。何れも蕩けるような脂肪の甘さとメヌケ類共通のしっかりした白身が絶妙のコンビネーション。尾の周辺は皮付きの唐揚も美味。大型魚ゆえ捌くのが大変と思いがちだがアコウダイよりも骨がかなり柔らかく大型を「兜割り」するのもそれほど難しくない。
握り鮨3種盛
材料:柵・鮨飯・濃口醤油・味醂・山葵・練辛子・天然塩・スダチ
調理
- 硬めに炊き上げた飯に鮨酢を合せ、鮨飯を作る。飯台に広げ、冷ます。
- 柵は鮨ネタ用に切って身を3等分する。
- 1/3は山葵で普通に握る「握り」。
- 1/3は煮切り(濃口醤油と味醂を1:1で合わせて加熱、沸騰直前に火を止めて冷ます)に数分漬けて握るのが本式だが、醤油と味醂を同割した即席の割り醤油でも可。山葵で握れば「漬け握り」、辛子なら「島寿司風」。
- 残り1/3は表面を焼いた「炙り」。専用のガスバーナーがあれば握りの表面を炙るだけで完成。焼き網やテフロンフライパンを使うなら表面をサッと焼いて握る。天然塩を振り、スダチを絞って食す。
西京漬け
材料:切身/西京味噌/味醂/日本酒/塩
調理
- 切身に軽く塩を振り、3時間冷蔵する。
- 西京味噌500gに酒・味醂各50ccを加えて練り上げ、味噌床を作る。
- 切身の水気を拭き取り、味噌床に漬け込む。直接漬け込んでも構わないが、味噌・ガーゼ・身・ガーゼ・味噌の順に挟んで漬け込めば味だけが染込み、焼く時に味噌を落とす手間が省ける。
- 2〜3日漬けると食べ頃。味噌床から出して(直漬けは味噌を洗い落とし、水気を拭いて)1枚ずつラップに包み、冷蔵、または冷凍保存。
煮付け
材料:切り身や兜の半割を鍋サイズや供する状態を踏まえて選択/濃口醤油/日本酒(又は味醂)/砂糖/粗挽き黒胡椒(根生姜でも可)
調理
- 醤油1:酒(又は味醂)4:砂糖1/3を合せて良く混ぜ、粗挽き黒胡椒を加えて強火で煮立てる。煮魚の汁には根生姜の薄切りを加えるのが一般的だが、本種やキチジ(キンキ)、アブラボウズなど脂の強い魚には粗挽き黒胡椒の相性が良くお勧め。味醂を使う場合は砂糖の量を減らすが、各調味料の割合はあくまで目安。魚の脂に弾かれない濃い目の煮汁を意識するが、最終的には各自の好みで調整する。煮汁は多目の方が焦げ付きなどの失敗が少ない。
- 汁が煮立ったら灰汁を掬い、魚を入れて煮る。
- アルミホイルで落し蓋をする。煮汁が上側まで回り、かつ吹き零れない様に火力を調整。灰汁を除きながら10分程煮る。調理時間は魚のサイズや形状により調整する。
- 崩さないように皿に盛付けて供する。
ベニアコウという魚
本項では「日本産魚類検索 全種の同定 第三版」の分類に従い「スズキ目メバル科のオオサガとサンコウメヌケの2種を指す」として話を進めるが、現状両種は微妙なポジションにあり、将来的には同一種とされる可能性もあ
オオサガ
Sebastes iracundus
国内の分布:北海道オホーツク海沿岸、北海道~千葉県銚子沖の太平洋沿岸
サンコウメヌケ
スズキ目メバル科 Sebastes flammeus
国内の分布:北海道~茨城県の太平洋沿岸
※「国内の分布」は文献に因るが、筆者は千葉県銚子以南~静岡県駿河湾まで自身の採捕、和歌山県沖では釣果画像で「ベニアコウ」の棲息を確認済み。
●水深700~1,000mに分布し大型は10kg以上に成長。その味覚と希少性からメヌケ類中最高値で取引される超高級魚。現状これより深い海域に遊漁のメイン足り得る魚が存在せず、名実共に「究極の深海ターゲット」と呼ぶに相応しい魚。
千葉県以南ではベニアコウの呼称が一般的だが、北海道~東北ではマメヌケ若しくはコウジンメヌケ(荒神メヌケ)と称される。全身が一様に赤く定型・定位置の斑紋はない。ただし「墨」と称される不定形・不定位置の黒斑を有する個体があり。額棘がなく眼窩下縁も無棘。現状2種の識別点とされるのは口腔内の色。白ければオオサガ、黒ければサンコウメヌケとされるが筆者がこれまで北海道から駿河湾まで複数の釣場で多数確認してきた「ベニアコウ」に口腔内の黒色がやや薄い物はあっても「白い」は一個体もない。
本来はウスメバルやアコウダイの様に群れを成すが、現在遊漁可能なフィールドは「ボウズ覚悟」「型を見れば御の字」が実状。特に10kg級は「幻」的存在と言える。
オオサガはそのサイズや棲息水深などから長らく「ベニアコウ」であり、サンコウメヌケは水深500~600mの岩礁で漁獲される希少種とされてきたが、この定説が覆されるのは04年5月。筆者が静岡県石廊崎沖で釣り上げた12kgのベニアコウが「日本産魚類検索第2版」に基づき、研究者よりサンコウメヌケと同定される。「決め手」は口腔内が黒かった事。「幻の魚」サンコウメヌケを釣り上げた事は少なからず嬉しかったが、同時に釈然としない部分も。
先ずは背鰭の黒斑。古い図鑑には背鰭に1黒斑のあるサンコウメヌケの写真や絵が掲載され、これが特徴でもあると表記されているが、筆者の個体には黒斑は無い。この点は「近年必ずしもこの画像は使用されていない」とされ、確かに新しい図鑑は黒斑の無い個体の画像も使われている。黒斑に関しては分類の大元となる「タイプ標本」が背鰭に「墨」を有する個体だったためで同定には意味を成さないと知る。
次にサイズと採集水深。文献と比較するとこの個体はあまりに大きく、1,000m以上は「倍」も深い。この点も「サイズや棲息水深はあくまで目安」とされる。これまで見て来た魚達の事もあり、ここまでは納得するが、最大の「引っ掛り」が「オオサガ」の存在。93年以降、現在までに筆者は北海道から駿河湾まで、多くの釣場と市場・店舗でチェックしてきたが、口腔内の「黒味」が若干淡い物こそあれ「白い」個体は皆無。文献に従えば「ベニアコウ」は全てサンコウメヌケとなるが、ならばオオサガは何処に?
糸口を探すべくメヌケ漁師を訪ねる。「ホンメヌケことサンコウメヌケは大きくても3kg。水深500~600mでしか獲れない。色はコウジンメヌケことオオサガと似ているが、金、又は銀掛っている。目は飛び出さない。腹の中は黒い。」これは従来の文献と概ね一致する内容。
ここで筆者が仕掛ける。南房総白浜沖の水深1,000mで採集した「目が抜けていない」6kgの個体画像を取り出し「これはどちらですか?」と問う。先の話に基づけば、サンコウメヌケとしては有り得ない水深とサイズ。しかし水深とサイズを伏せた魚単体の画像ではその姿のみから判断するしかない。果たして。漁師は「これはサンコウメヌケ」と断言する。
そして仮説が立つ。水深1,000mの「ベニアコウ」は遊漁の歴史が長い南房総でも「若魚は何処にいるのか」が謎とされて来た。水深500~600mに棲息する、とされるサンコウメヌケこそがオオサガの若魚ではないのか。
そんな折。京都大学の甲斐嘉晃博士より、ロシアの魚類学ジャーナルに「サンコウメヌケはオオサガのジュニアシノニム(異名同種)である」とする論文が掲載されたとの情報が。仮説は正しかったのか。この情報は同年「日本魚類学会」HPにも掲載されたが、論文が発表されたからと言って、それが全て認められるとは限らない。当時から「遠からぬ将来、魚類検索第三版が刊行される」との噂が有り、「国内最高権威」のジャッジを待つ事とした。
予定から遅れる事2年の13年3月。待望の「日本産魚類検索 第三版」が手元に届く。真っ先にカサゴ目を探すが…見つからない。スズキ目に変更されたのだ。更にメヌケ類は新設されたメバル科に「移籍」している。期待と不安が交錯する中、「メバル科」のページをめくる。果たして「ジャッジ」は…
「現段階の研究ではまだ両者が同種である、とは言い切れないため、従来のまま「オオサガ」「サンコウメヌケ」の2種を有効とする」の内容。統一を期待する半面「決着付かず」の可能性も少なからず有りそう、と覚悟はしていたが…今後の研究に期待したい。
ベニアコウ釣りのエキストラ達
メインターゲットも大型だが、脇を固めるエキストラも大型中心。アブラボウズ・バラムツ・アブラソコムツの3種は第9話「アブラボウズ」編を参照頂くとして、本項ではタラ目の7種とミズウオの「他の釣りでは滅多にお目に掛れない」魚たちを紹介。
イバラヒゲ
タラ目ソコダラ科 Coryphaenoides acrolepis
国内の分布:北海道オホーツク海沿岸・北海道~相模湾の太平洋沿岸・土佐湾
●相模湾のベニアコウ釣りで最も数多く釣れるソコダラ。体は一様に黒く、各鰭、口腔、鰓腔も黒い。 腹鰭8~9軟条 「またクロッチョだよー」悲鳴にも似た?ボヤキの声を追いかけてポン、ポン、ポン!と浮き上がる漆黒の魚体。いわゆる「黒提灯」に船長も苦笑い。神奈川県ではトウジンを筆頭としたソコダラ類を「チョウタロウ」若しくは「チョウタ」と呼ぶ地域があり、ソコダラ類でも特に「色黒」のイバラヒゲは、黒いソコダラ=黒チョウタロウ、略して「クロッチョ」。
相模湾ベニアコウポイントで最も多く鈎掛りするソコダラだが、同じベニアコウ釣場でも駿河湾ではソコダラ類は後述のオニヒゲ、ヒモダラ、キタノクロダラが少々程度。本種に至っては「見た事無い」状態だが、19年にNHKで放送された駿河湾2,000mの海底映像には本種がソコボウズと共にウヨウヨ群れる様子が。深海はまだまだ未知だらけと再認識させられた次第。
画像は外観のやや異なる2個体。一方は背鰭が長くやや違和感を感じるが、実物を同定した京大の甲斐嘉晃博士より「確かに背鰭が長いが、イバラヒゲの背鰭長は頭長の60-93%程度の変異がある。両個体とも頭長より背鰭が短く、別種ではない」とのコメントを頂いている。
オニヒゲ
タラ目ソコダラ科 Coelorinchus gilberti
国内の分布:北海道~土佐湾の太平洋沿岸・東シナ海大陸棚斜面部・九州~パラオ海嶺
頭部下面は無鱗。丸い肉質皮弁や黒色絨毛状皮弁を有す。
●ベニアコウ釣りで時折姿をみせる「灰黒色のトウジン」。頭部下面は無鱗。水深700m以深に多いが、福島県沖450mでも採捕経験あり。
鼻の尖ったトウジン属は国内で24種が報告されているが何れも外観が酷似。専門家も魚体写真だけでは正確な同定は困難と言われるが、本種は特徴的な「黒い」体色から比較的識別し易い種類。筆者がベニアコウ海域で遭遇した「鼻の尖ったソコダラ」は南房総で採集した「テングヒゲ」Caelorinchus productus(頭には堅くて強い隆起縁があり突出する吻の先端に鋭い棘を有す。体色は灰褐色、腹部は淡く青みを帯びる)一個体以外、全て本種。
ムネダラ
タラ目ソコダラ科 Coryphaenoides pectoralis
国内の分布:北海道オホーツク海沿岸・北海道~房総半島の太平洋沿岸・相模湾
●ベニアコウ釣りのソコダラ類では最大サイズ(大型は20kg超)の通称「怪獣」。体色は灰褐色で各鰭は黒い。口腔、鰓腔も黒く縁辺部は灰色。紐状の腹鰭軟条がない、下顎歯が1列(ヒモダラ2列)、背鰭軟条数7~9本(ヒモダラ12~14本)、腹鰭軟条6~8本(ヒモダラ9~10本)で近似種のヒモダラと区別される。
南房や東北の「お約束」として過言ではない本種。小で数kg、通常10kg前後。筆者が遭遇した最大は20kg超の、正にヘビー級。俗称の由来は、鋭い歯が並ぶその顔から一目瞭然だが、他のソコダラ類は釣り上げると鰾(うきぶくろ)が膨張し殆どの個体で眼球が突出するのに対し、本種は1000気圧近い変化を物ともせず、悠々と深海へと泳ぎ去るタフネス振りを見せ付ける。この辺りも「怪獣」たる所以か!?
ヒモダラ
タラ目ソコダラ科 Coryphaenoides longifilis
国内の分布:北海道オホーツク海沿岸・北海道~土佐湾の太平洋沿岸
●紐状に伸びた腹鰭外側の1軟条が和名の由来。胸鰭が長い。体は暗褐色。各鰭は黒褐色で、口腔、鰓腔は黒い。ムネダラとは紐状軟条の他、下顎歯列(本種2列、ムネダラ1列)と背鰭軟条12~14本(ムネダラ7~9本)、腹鰭軟条9~10本(ムネダラ6~8本)で識別可能。
ムネダラよりもやや小型種で数も少ないが、糸状に伸びた腹鰭軟条で識別は一目瞭然。ムネダラと同属ながら釣り上げた際には鰾(うきぶくろ)が膨張、他のソコダラ同様に浮き上がってしまう。
キタノクロダラ
タラ目チゴダラ科 Lepidion schmidti
国内の分布: 東北地方太平洋沖・房総半島沖・相模湾・三重県浜島
●1m、十数kgになる大型種。主にベニアコウ釣りで姿を見せる「超深海のお化けドンコ」。神奈川県三浦では「シゲダラ」の俗称も。小さな第1背鰭の鰭条が糸状に伸びる。腹鰭は糸状に伸びる2軟条。ソコクロダラと酷似するが、臀鰭軟条数39~42とソコクロダラより少ない点、上顎の鋤骨歯帯が逆V字若しくは三角形である点で識別される。
ソコクロダラ
タラ目チゴダラ科 Lepidion inosimae
国内の分布: 相模湾~土佐湾の太平洋沖・東シナ海・硫黄島海嶺
●キタノクロダラと酷似するが、臀鰭軟条数が49~55と多い点、上顎の鋤骨歯帯が正円形である点で識別される。相模湾以南に分布し1m、十数kgになる大型種。 特徴的な「糸状に伸びる第1背鰭条」を含め両種のルックスは酷似しており、識別ポイントは臀鰭の軟条数。糸状の背鰭を除けば外観は「ドンコ」ことチゴダラそのものだが、そのサイズたるや全長1m以上、十数kgにもなるヘビー級。本種が海面に浮かんだ姿に「アザラシ」を連想したと言う仲間も。若魚は水深500mのアコウダイ釣りでも採捕経験があるが基本水深1,000mでのエキストラ。数はイバラヒゲやムネダラと比較するとかなり少な目。
「この魚が釣れれば、本命も出る」確率は高いが、相模湾の古老漁師によれば「道具(仕掛)はポイントの近くには入っているが、『真っ芯』からは外れている証拠」とか。そのサイズからもベニアコウ並に明確なアタリ見せ、途中の抵抗と最後はガスが溜まって浮き上がる…本命同様のシチュエーションで釣人を「その気」にさせてしまう罪な奴でもある。真紅の大輪を夢見た釣人が褐色の大提灯を目にした時の落胆具合、心中お察しする。
カナダダラ
Antimora microlepis
国内の分布:北海道~相模湾(宮城県以南は少ない)
●体表は剥れ易い黒色粘膜に被われる。吻は三角に尖り、扁平。下顎に短い1本の髭を有する。第一背鰭は小さく、糸状に延長。尾鰭後縁が顕著に窪む。
初夏の相模湾ベニアコウ船。帰港後に同乗者から「キタノクロダラの子供を釣った」なる報告があり、確認したのが40cm程の本種(画像・褐色の個体)。
「釣った時は真っ黒だったのにヌメリが剥がれたら茶色くなった」の言葉通り、背鰭周辺には僅かながら残る黒い粘膜。キタノクロダラやソコクロダラは名に「黒」の字を冠してはいるが、釣り上げた時から体色は茶褐色。決して「真っ黒」ではないし、体表の粘膜が剥れて「黒から茶」に変色する事はない。
この個体で最も特徴的だったのは折り紙の「河童(or蛙)の顔」を髣髴させる、三角に尖った平たい吻。他の特徴と併せ本種と知れたが、どの文献にも「体表が黒い粘膜で覆われる」の記述は一切なし。
「釣れた時に声を掛けてくれれば良かったけどなぁ。」とチョッピリ落胆したが、この個体が「ズル剥け」でなかったら同定は難航したかも。
2年後、船長の「カナダダラが上がりましたよ!」の声に血相を変えて?駆け付けた筆者に釣人は「そんなに貴重な魚ですか?」と怪訝な顔。全身を包む漆黒の粘膜は「あの魚」と同種とは思えない程ながら、デッキに触れると簡単に剥れ落ちて墨状に付着。
これはマズいと撮影を早々に切り上げ、ビニールに包みクーラーへ。この日はもう1個体採捕が叶い「本命船中型見ず」もどこ吹く風の上機嫌で帰港した次第。
2個体は京都大学に寄贈し、㈱エンターブレイン発行の「釣魚1400種図鑑海水魚・淡水魚完全見分けガイド」にも画像掲載。図鑑著者の小西英人氏は解説執筆に際し複数の研究者に「黒い粘膜」の情報を求めるも返答は「これまで目にした『新鮮なカナダダラ』は全て底曳網採捕で茶色の個体。全身が黒い事は全く知られておらず、大変興味深い」なる内容。小西氏が納得できる回答は得られず、図鑑は「釣り上げた個体は全身が真っ黒である」の記述に留まった。
かつてロケで深海底曳き漁船に同乗した際、船に引き上げられた魚はどれも泥まみれ。勢い良く放水して汚れを洗い落としても殆どの魚は鰭がボロボロ、中には鱗が全て剥がれ落ちている種も。手指で触れただけでも粘膜が剥離してしまう本種は底曳網では「黒色」が全く残っていないであろう事は容易に想像できる。専門の研究者にも知られていなかった本種の「真の姿」を公開できた事は「ディープマスター冥利」に尽きるが、証明し切れていないのは何とも残念だ。
ミズウオ
ヒメ目ミズウオ科 Alepisaurus ferox
国内の分布:北海道南岸~南日本。
●駿河湾冬~初夏の打ち上げ魚(弱ったり、死んだりした深海性の魚が波打ち際や浅瀬で発見される)として知られる。「縄切り魚」の代表格であり、本種が釣れた際は以降もハリスや幹糸、ライト周辺のライン切れを覚悟する必要がある。
バショウカジキを髣髴させる巨大な紺色の背鰭とこれぞ深海魚、と言わんばかりの鋭く大きな牙状の歯。インパクトの大きいルックスは他の魚と見間違える事は先ずない。背鰭の後ろに脂鰭を有する。
水深900~1,500mに棲むが夜間は上層に移動・摂餌する。面構えのマンマの貪欲魚。その胃袋からは小魚、イカはもちろん、プラスチック片まで確認されている。そんな魚故、共食いもごくごく普通。静岡県富戸沖では釣り上げた本種が全く同じ形状をした15cm程の幼魚を吐き出した。
細長く身が少ない事に加えて身の殆どが水分で煮ると身が溶けて可食部分がなくなるとも。当然食用にならず商品価値は0。市場や店頭に並ぶ事もないが世間一般で知名度が高いのは、チョウチンアンコウやリュウグウノツカイ同様に図鑑や百科事典、博物館で「深海魚」の代名詞的存在として掲載・展示されているから。
インターネット等で見られるダイバー撮影の「浅海を泳ぐ本種」の多くは冒頭に述べた「打ち上げ魚」と思われるが、かつて神奈川県真鶴沖のコマセダイポイント(水深数十m)の縄切り魚が本種だった事も。「潮が極端に暗い」状況では摂餌に浮上した個体が日中も深海に戻らず浅所に居付くケースもある様だ。