深海研究所実釣編 第3回 相模湾ベニアコウ2024.4.25&11.14
レポート:フィールドスタッフ テル岡本


2010年9月の初釣行以来、TVロケやビデオ撮影で度々お世話になっている神奈川県剣崎間口港「一郎丸」。現在2隻の仕立船を鈴木俊哉・元貴の親子船長が操業し浅場~超深海迄、東京湾口~相模湾の季節の釣物を楽しませてくれる宿だが、自身の釣行は専ら「究極の深海釣り」ベニアコウとなる。
一郎丸の遊漁でのポイントは「城ヶ島西沖」と称される相模湾の1,000mライン。同地ではベニアコウの釣期に厳密な取り決めはないが、潮流など状況を踏まえると11月開幕~5月一杯でクローズ、が通常と言えよう。
一郎丸はそれまで職漁として行っていたベニアコウをいち早く遊漁にも開放、某局地上波ロケでご縁が繋がり、複数TV番組のロケを経て今日に至る。更に特筆すべきは鈴木船長がここ迄プライベートを含む全釣行で自身に「型を見れば御の字」のベニアコウを釣らせてくれた“ミスターパーフェクト”である事だ。


【一郎丸ベニアコウ釣り概要】

アルファタックル ディープオデッセイBGX モデルRにミヤエポック コマンドZ-15キンメSP
ロッドは深海専用の2mクラス、錘負荷500~600号程度。リールは大型電動9~15番リールに高強度PE10号をフルキャパシティ。キーパーはミヤエポック「マキシマムM」使用なら船体に脚部が4基固定されており、上部のみ持参すればOKだ。
仕掛は胴突6本でハリス24号1,5m、幹糸40号4m、捨て糸16号2m。深海バケは藤井商会「フジッシャー毛鈎ムツ」28号、空鈎ならKINRYU「鋼タルメ」28号。空鈎仕掛にはヤマシタ「パニックベイトL」やNIKKO「スーパータコベイト6inch」の半割を1~2本置きに配しても良い。チモト周辺にバケorタコベイトカラーとリンクするヤマシタ「マシュマロボールL」をダブルで配す。仕掛上端にはミヤエポック「ヨリトリWベアリング」等の大型ヨリトリ器具と水中灯「フラッシュカプセルLED-S」を配す。錘は海底に残っても環境への負担が少ない鉄製のフジワラ「ワンダーⅠ」2kg。

また本命を確信、若しくは予想されるアタリをキャッチした際には宙層~海面下での奪い喰い禍を回避すべく、巻上時にサメ被害軽減装置「海園Ver.3」の使用を推奨する。

付餌は大型スルメイカ(規格最大サイズが望ましい)を開き、胴を縦方向5枚程度幅1,5cm、長さ20~25㎝程度)にカットした短冊を使用。
【24年4月25日 YouTubeチャンネル動画撮影(昨シーズン最終釣行)】
「信頼度100%、いや200%の船長の船で、深紅の紅花が海面に弾ける瞬間をご覧ください。」秋にリリースのニューロッドプロモーションを兼ね、アルファタックルYouTubeチャンネルのオープニングで声高らかに宣言した「シーズン最終戦」のこの日は6時20分にスタート。2kgのワンダーⅠを使用しても着底迄15分近くを要する千尋の底。スカイツリーと東京タワーを重ねた高さから地上の的を狙うに等しい、否、それ以上にハードな条件の下で「釣れれば御の字」の究極ターゲットに挑むハイリスクにしてハイリターンのビッグギャンブルに挑むこの日のメンバーは4名。
全員の仕掛が無事投入され、第一関門はクリア。待つ事暫し、仕掛が順次着底し、ラスト投入のチームメンバーの鈴木さんが底取りを終えた直後に響く「凄いアタリ!!」の声に色めき立つ船上。正に出会い頭のスマッシュヒットにやや拍子抜けの感すらあったが…実は鈴木さん、ベニアコウ歴5年にしてここ迄本命型見ずの黒星街道。いい加減に嫌気がさしたものの、一度は筆者と同行してそれでも釣れなければベニは諦めるつもりだったと後から聞かされるが。そんな背水の陣が奏功か、いきなりのビッグヒット。途中の抵抗が派手で本人はサメ疑惑も脳裏を掠めたと言うが、最後は大量の泡に続き海面下に揺らいだ白い魚影が見る間に橙~紅色へと変わり、歓声と共に深紅の大輪が海面に弾ける。
6本鈎の天辺に飛び付いた6.8kgの見事な魚体に満面の笑みの鈴木さん、congratulation!!

「初めてベニアコウが釣れました! テルさんと来て良かったです!!」の弾んだ声に自分が釣るより嬉しくなってしまう!?
いきなりの本命登場にやや拍子抜け!?感が有りつつも、さあ次は自分だと気合を入れるが…2投目迄底潮が殆ど動かず、件の一本以外は全員エキストラのアタリすらない。
3投目も中盤まで同様の状況に流石に焦りを感じ始めたが、ここで僅かに底潮が流れた途端にソコダラらしき第一信。そのまま待つと根掛りも張り伸ばしで上手く外した直後、然程大きくはないがキレのある第2信に期待が膨らむ。
船長の合図で巻上。負荷と抵抗からサイズ的には知れているが、巻上終盤のムーブに高まる期待感。
果たして海面下に現れたのは4kgには届かぬ物の、橙フジッシャーをガッチリ咥えた紛う事なきベニアコウ。「ちょっと小さいけど、本物だから勘弁して」と微苦笑しつつカメラに収まる。下鈎には第一信の主、小型のキタノクロダラ。

取り敢えず目標は達成し安堵の溜息。同行のアルファタックルスタッフにはムネダラ&イバラヒゲの定番エキストラ。
ラスト4投目は全員にアタリが出るも「本命然」はナシ。皆がソコダラ類に苦笑しつつ納竿の声を聞く。
帰港後には「だからオープニングで必ず釣れる、って言ったでしょう。」等と軽口も出て大団円と相成った。
【24年11月14日 シーズン初釣行】
冒頭で述べた通り相模湾のベニアコウには南房総や東伊豆海域と異なり厳密な釣期の取り決めは無いが、黒潮の影響などを踏まえて現状は多くの船宿が11月スタート、5月末辺りクローズのローテーションで臨む。筆者の24冬~25春シーズン初戦のこの日は一郎丸にとっても今季初出船。「仕掛を下ろしてみないと判らない」状況。船長共々期待と不安が交錯する出船前だ。
私事だが、23年春に大病を患い頸部に大きな手術痕が残っており、冬季は防寒を十二分に施しても強風時など首肩の凝りと痛み、強い頭痛目眩に辟易する昨今であり、この日も強めの北風予報を踏まえ、(舳先有利と判断しつつ)風除けのある大艫に逃げ込む始末。この時点で自ずと結果は出ていたのだろう。
この日は夏からチームOKAMOTOに加わった三浦夫妻との3人でチャーター。6時10分の一投目、着底後程なく舳先側の三浦夫妻が立て続けにアタリを捉えるが、首肩痛で今ひとつ集中できない自身はチャンスを逸したかノーヒット。
舳先のご主人が3,5kgの本命、胴の千歳夫人は惜しくもキタノクロダラとイバラヒゲ。

今回もいきなりの本命に残り3投にもうワンチャン位有るだろう、と体調不良ながら期待も少なからず…だったが。
2投目以降は底潮ビタ止りで全員ノーヒットの憂き目。帰港後に「テルさんのパーフェクト記録を止めてしまい申し訳ない」と船長に謝られたが、ここ迄毎回釣れていた方が奇跡に近い事だし、TEAMの仕立としては連釣記録を伸ばせたのだから御の字と言えよう。
この後の釣行では京都から遠路遥々の釣友藤川氏が一人で2本、都内某釣具店主が50kg超のアブラボウズと、今期も順調な釣果を叩き出している一郎丸。シーズン後半でのリベンジを検討中なのだ。
【ディープマスターのワンポイント】
本命青紫、対抗橙、大穴濃緑!? 相模湾ベニアコウの深海バケカラーセレクト

関東圏のベニアコウ仕掛には自身のリクエストで商品化された藤井商会「フジッシャー毛鈎 ムツ28号」をメインで使用する筆者。カラーには紫系、橙、緑系、赤、ピンク、水色、白(蛍ムラ)などのバリエーションが有るが、相模湾(~駿河湾)のベニアコウに限って言えば「本命◎青紫、対抗〇橙」の傾向であり、過去20年以上の実績は青紫と橙が数では五分五分、サイズで青紫優位の傾向でTEAMには「青紫と橙だけで十分」と豪語!?するメンバーもいる程だ。
自身は青紫3本、橙2本、青緑1本の6本鈎が現在の基本パターン。大した実績がない青緑を1本だけ配すのは以前テレビロケの際に80kgアブラボウズを仕留めたラッキーカラーだから、に他ならないのだが。
余談ながら相模湾を筆頭とした各地のアブラボウズ釣りでも実績は圧倒的に「青紫」である事を付記しておく。
付け餌はスルメイカ縦割り短冊一択が◎

他のターゲットでは複数種の付けエサを持参する事が多い筆者だが、関東周辺のベニアコウでは基本「スルメイカの短冊一択」。着底に10数分を要する1,000m前後の水深に於ける「エサ持ち」も然ることながら、ソコダラ類、ホラアナゴ類、深海ザメなどエキストラが多数存在する関東周辺では、所謂「魚皮エサ」、サバやソウダガツオ、サンマ等匂いが強い物はスルメイカ短冊に比べてエキストラ達のアプローチが極めて早い傾向があるから、だ。
筆者は16~20サイズと呼ばれる16杯~20杯一箱の最大規格のスルメイカを用意、開いた胴を縦方向に5~6枚にカットし、旨味調味料をタップリ塗して2~3日冷蔵して味付け&余分な水分を絞った状態に加工してストック、釣行時に必要量を持参し確実に実績を上げて来た。
そんな訳でベニには専らスルメ短冊の筆者だが問題が一つ。ここ数年の不漁続きでスルメイカの価格が高騰し、以前は一箱¥3,000程度だった16~20サイズが今や¥20,000に迫ろうか、の勢いは正直船宿共々頭の痛い問題だ。因みに一郎丸では25年2月の時点で一人分¥3,000にてこのサイズのスルメ短冊を用意してくれる。
【ディープマスター タックルデータ 城ヶ島西沖ベニアコウ】
※タックル詳細は品名をクリック!
ロッド:アルファタックル ディープオデッセイBGX モデルR
ロッドキーパー:ミヤエポック マキシマムM 強化タイプ
アダプター:マキシマムM専用アダプター MB24
ライン:ゴーセン ダイバーX8 10号
仕掛:
サメ被害軽減装置: 海園Ver.3
ヨリトリ器具:ミヤエポック ヨリトリダブルベアリング
水中灯:ミヤエポック フラッシュカプセルLED/S
深海バケ:藤井商会 フジッシャー毛鈎 ムツ28号
空鈎:KINRYU 鋼タルメ28号
サルカン:フジワラ ステンレス親子サルカン3/0*2/0
集魚ギミック:ヤマシタ マシュマロボールL
錘:フジワラ ワンダーⅠ 2kg
【船宿紹介】


一郎丸 神奈川県三浦市 剣崎間口港 ℡ 046-886-1684
ベニアコウ仕立/4名迄 ¥64,000、追加1名当たり¥16,000 エサ別・氷付
アクセスはこちら→ https://ichiroumaru.net/access.html
【アルファタックルYoutubeで、2024年5月撮影のベニアコウ動画がご覧になれます。下記タイトルをクリック!】
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